海を見ていた午後

あなたを思い出す この店に来るたび
坂を上って きょうもひとり来てしまった
山手のドルフィンは 静かなレストラン
晴れた午後には遠く三浦岬も見える

ソーダ水の中を 貨物船がとおる
小さなアワも恋のように消えていった

あのとき目の前で思い切り泣けたら
今頃二人 ここで海を見ていたはず
窓にほほをよせて カモメを追いかける
そんなあなたが今も見えるテーブルごしに

紙ナプキンにはインクがにじむから
忘れないでって やっと書いた遠いあの日
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