シーサイドモーテル

シーサイド・モーテルに灯りが点くの眺めながら
「僕にゃ関係ない」と、唾を吐き捨てている
財布には十円玉が八枚居座り幅をとる
しょうもない悠久の菓子でも買いに行こう

なんだかこの辺も
そういや随分変わったなぁ
知らない道だとか
無くなった道とか
気付けばこの街のことすらほとんど知らないなぁ
日に日に興味すら段々薄れていく

壊れたギター、折れてるナイフや
割れてるビンとか
そういうのと並んでみたけど違和感がないぜ
でも不思議だ、なんだか嫌な気分ではなくて
「上等だぜ、こんな気分なら空も飛べる」と
笑ったのさ

シーサイド・モーテルに
命が生まれる十秒間
それを横目にさ
肩を落としている
こんな僕なんかにどうして愛が歌えようか
ビルはいつまでも僕を嗤っている

間の抜けた表情で鳴らない電話を待つ僕は
地上の誰よりも阿呆な奴だろう

この期に及んで何をしているのか
目を覚ましてそろそろ行かなきゃ

十月、ただ風が冷たくて
秋が終わっていく
思い出など僕は何一つ持っちゃいないけど
寂しい日は時が経つほどに体侵していく
「だから何だ、それがどうした」と
空元気でも笑ってやる

生きたくない日々を
「死にたい」だなんて言い換えて
まるで不幸少年、僕を笑ってくれ
それでも僕たちは
少しの希望を追いかけて
電波の海の中、手紙を飛ばすのさ

シーサイド・モーテルで
僕らは海を眺めながら
最後の瞬間を迎えられるのかな
想像を超えていく未来の日々を重ねながら
最低の感触を僕は目指すのだろう

ひたに歩くよ、ありえないとしても
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