夕闇のふたり

切れ切れの雲が 空に散り
夕暮れの風は 湿りがち
歩道橋の上 ふたりして
行き詰まる心 辛い

楽しい夢だけ
見れればいいが

ほんの迷路 愛しさも仇になる
瞳そらす 呼吸のはかなさ

目の前に映る 都会なら
まるでスプレーを まいたよう
すべてぼんやりと 輪郭を
失くして漂うようで

過(よぎ)った想い出
瞼を急ぐ

止めて 止めて 時間だけあの頃で
ビデオならば 巻き戻せるのに

夕闇 迫って
人波 増えて

切り絵のように
ふたり じっと 動かない動かない
フィルム止めた 瞬間のように

ふたり じっと 動かない動かない
ネジの切れた 人形のように
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