北の哀歌

身の丈ちかく 雪が降る
故郷(ふるさと)は 線路(みち)の果て
九年(くねん)数えた都会(まち)の暮らしに
別れを告げるベルが鳴る
後ろ髪引く思い出ならば
胸のすき間に埋めりゃいいさ
軋(きし)む明日に身をゆだね
北へ北へ、北へ北へ…揺られる夜汽車

失くしたものは 蒼(あお)き夢
やるせない 恋ひとつ
「それであなたがいいというなら…」
俺には出来(すぎ)た女(ひと)だった
詫びて飲み干すカップの酒に
浮かぶ未練のほろ苦さよ
きつく唇かみしめて
北へ北へ、北へ北へ…揺られる夜汽車

春の芽吹きは まだ遠く
故郷は 雪だろう
上り列車の窓の灯りに
昔の俺がすれちがう
老いた親父と妹ふたり
駅のホームで待っているよ
土産ものなど無いけれど
北へ北へ、北へ北へ…揺られる夜汽車
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