愛愁和歌浦

別れ涙を 沈めた海は
波も乱れて 打ち寄せる
あなたの面影 消したくて
ここは紀州路 女ひとり旅
流した後から 連れ戻す
未練満ち潮 和歌浦(わかのうら)

万葉集(うた)に詠(よ)まれた 絵のよな景色
濡れた瞼が また隠す
愛したぶんだけ 悲しみに
変わる切ない 白い波しぶき
明日が見えない この胸に
灯(あか)り点して 雑賀崎(さいかざき)

一羽だけでも 迷わず飛べる
翼借りたい 海鳥よ
かえらぬ恋だと 知りながら
思い切れない 弱いこの心
潮風(かぜ)さえ叱って 頬を打つ
夕日まぶしい 和歌浦(わかのうら)
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