宵待船

宵待船は むらさきの
空に錨を 巻きあげて
ドラも鳴らさず
いづこの果てへ
残るあの娘が かなしいかろ

宵待船を 呼び止める
靄の桟橋 影ひとつ
海の男は
いつかは海へ
恋を捨てても 帰るのさ

宵待船と 誰が言う
月も待たずに 出る船を
風よ荒れるな
あらしも吹くな
無事のたよりを 読むまでは
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