春の北岬

いのち支える 小枝をくわえ
雁(かり)が飛び立つ 北岬
遠く旅して ふるさと目指し
帰り着けずに はぐれた枝が
白く哀しい 春の浜

遥か波間を 小枝で休み
雁(かり)は渡って 行く北へ
昔小枝で 湯船を焚いて
冬鳥(とり)の想いを 慰めたとか
情けしみじみ 北岬

君が待ってる あのふるさとを
越えて行くのか 冬鳥(とり)達は
夢のひと枝 花咲く日まで
今は帰れぬ ああつらいけど
思い重ねる 北岬
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