キタカゼ

子供たちはみんな 風の子だと言われたのは
こわさをなにも 知らなかったあの日のこと

気がついているさ いま認めたくないだけだ
逆風の向きは こっちへむかっているようだ

静かにチカラ たくわえる
うずを巻く砂に 不意うち、くらって 眼をつぶった

キタカゼ 吹いてくる 吹いてきなよ
絶対まけない
夢中でつかんだ手の たしかな感触

そうだよ ひとり またひとり 手をつないだら
沈む気がしない船
僕らは 進んでいく

大人になんて なりたくないと叫んだのは
やりたいことが みつかっていなかった頃

教室の隅で 花ひらけるチャンスを待つ
急上昇の波 まだこっちへはツイてない

乗り遅れてる やつのこと
身をふせてかばう おまえは、やわだと いわないでくれ

キタカゼ もっと吹け 吹いてこいよ
ヒーローっていうのは
そうして生まれるんだろう あたらしい価値観

風のなかに 立ちあがる きみのシャツの
まぶしすぎる模様が
瞳に 灼きついてる

キタカゼ 吹いてくる 吹いてきなよ
絶対まけない
夢中でつかんだ手の たしかな感触

そうだよ ひとり またひとり 手をつないだら
沈む気がしない船
僕らは 進んでいく
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