雑踏

埃混じりの風が吹く
街は昨日のままさ
油模様にギラギラと
浮かぶ狂った決意の鼻唄

昼飯時の騒ぎと午後の人いきれ
かわして歩く街路に春の陽が注ぐ

明日の墓場を誰が知ろ
俺は俺のままさ
無駄に踵を擦り減らし
歩き去るだけさ

宵待つ街の気配とその手足と顔
紛れて歩く街路に淡く灯がともる

埃混じりの風が吹く
空は黙ったままさ
誰が助けを呼ぶものか
強張った肩の木漏れ日

擦れ違うだけの朝のその光と影
はぐれて歩く街路に青く葉が茂る

立ち止まって後をふと振り返れば
似たような顔の誰かが俺の方を見ていた
×