北の叙情詩

北の緑に身を染めれば 時の流れ緩やかに
眠りより深き 安らぎが包む
喋り疲れた唇が しばらく言葉を 忘れたいという
瞳はここで 眠りたいという

木もれ陽 揺らす もみの木の下
汗も拭かずに 座りこめば
もみの梢が 囁きかける
俺がすこし 背を伸ばす間(ま)に おまえは死んでしまうのだから
過ぎてゆく季節を 惜んでみろと

山の小川に 身を屈めて 土を耕す男達が
両手で抄った 水を飲みほす
何度も飲みほす その姿が
祈る人の様に 僕には見えた
夕闇の中で なぜか 涙が
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