記憶 ―Memento Mori

まだ見ぬ日を恐れながら
迫る闇に怯えていた
だけど今は何も怖くない
君を知って 光を知った

眠らない街のたたえる灯火
人波とざわめきに包まれ
様々の矛盾が交差する路地を
ひたすら歩いた 夜が好きだった

永遠に続いてくものなんて無い 本当は誰もが解りながら
あらがい 諦めてなお 焦がれて焦がれて刹那を生きている

何処から来て 何処へ行くの?
遙かの日の問いを聴いた
遠く近く懐かしく響く
耳の奥にささやく記憶

花も木も風も想いもうつろう
だからこそ求め合い寄り添う
弱いほど強く 強いほど儚い
一緒に歩いた 君が好きだった

歪められ奪われて壊れてゆく それでも誰もが守りたくて
名もない かけがえのない ちっぽけな命の欠片を抱きしめる

君の言葉 君の祈り
そのすべてが眩しかった
だから今は何も怖くない
黒が晴れて広がる記憶

嗚呼 赤く腫れて崩れてゆく 終焉の光景
この身が力尽き消え去るまで見つめ続ける

―ここにいるよ ずっとずっと ここにいたよ わすれないよ

まだ見ぬ日を恐れながら
迫る闇に 怯えていた
だけど今は何も怖くない
溢れ出した 優しい記憶

何を愛し 何を憎む?この世界で
君と生きた 何もかもがいとしい記憶
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