酒ひとり

面影に 飲む酒なのか
未練を捨てる 酒なのか
わざと冷たく 背を向けたのに
男ごころが 咽(むせ)ぶ夜半(よわ)
あゝ 惚れてせつない 他人(ひと)の花

迷い舟 なぜ身をけずる
流れる闇の なさけ川
紅が哀しい おくれ毛泣いて
つれて行ってと すがる女(ひと)
あゝ 苦労させたく ないおんな

淋しかろ さぞ憎かろう
逢いたさつのる 意気地なし
浴びる火の酒 ひとりが寒い
遊びだったら 抱いていた
あゝ 夢がよろける 影法師
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