世外れおけさ

笠は端(つま)折り 裾からげ
時雨に追われて来た瞽女(ごぜ)よ
鬢(びん)のあたりの白いのは
もしや誰かの所為(せい)なのか
あゝ 今更に 親不孝
想い出させる エー 世外れおけさ

軒で爪弾く 門付けに
名乗りもしないで訊(き)いてみる
越後何町 何筋の
粋な小店のお燗番
あゝ 知らないか 達者かな
三味が哀しい エー 世外れおけさ

思い出したく ないけれど
指折り数えりゃ 二タ昔
ちょうど二十歳で飛び出して
梨の礫(つぶて)の罰あたり
あゝ 泣いている 茜雲
責めてくれるな エー 世外れおけさ
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