プリンのカラメルが恋、その下のたぷたぷが愛。

―― 失恋ソングである「優しくない女の子」には明確に<結婚>というワードが出てきましたが、1曲目「あたしの恋人」は生涯一緒であることを考えているのに、あくまでずっと“恋人”であることが印象的です。

これは私の理想が入っているのですが、結婚をしても夫婦ではなく、ずっとお互いにお互いの“好きなひと”であり“恋人”でありたいんですよ。とくに子どもが生まれると、どうしても「ママ」と「パパ」という呼び方になったりして、恋人ではいられなくなってしまうじゃないですか。でも、それでも私は、ずっと恋人同士で在りたい。お互いを思い合う気持ちも、「幸せすぎて怖い」という気持ちも、持ち続けたいという理想が反映された1曲ですね。

―― では、コレサワさんにとって、恋と愛の違いとはなんでしょう。

恋は、自分がウキウキワクワク、きゃぴきゃぴしている感じ。愛は、相手のために何かをしてあげたいという気持ちがあって、底が深い感じ。イメージでいうと、プリンのカラメルが恋で、その下のたぷたぷが愛ですね(笑)。

―― その恋の定義を当てはめると、2曲目「I LOVE ME」の<恋をするように 息をして>というフレーズがより腑に落ちます。恋をするように、常にウキウキワクワク生きていこうよ、という思いが伝わってきますね。

本当にそのとおりなんです。ここは私がみんなに言いたいことを1行で言えましたし、今作でいちばん好きなフレーズですね。やっぱり好きなひとがいるだけで、日常がハッピーになるじゃないですか。いつも通る道さえ輝いて見えるし。でも、恋をしていてもしていなくても、そういうふうに自分の人生にウキウキワクワクできたら、幸せだろうし、みんなにもそうやって毎日を過ごしてほしい。そんな明るく前向きなメッセージを込めました。

―― また、「I LOVE ME」は、「ワコール」ブランド コラボレーション楽曲ということで、歌詞のところどころに下着にまつわるワードが綴られています。

ちょうどラブソングのリリースが続いていて、「♡人生♡」のような、自己肯定感の上がる曲を書きたいと思っていたんです。そういうタイミングでワコールさんからオファーがありまして。ワコールさんも「Love your moment」というコンセプトがあり、まさに歌いたかったこととマッチしました。私は、自分を愛し、大切にすることが、毎日を生き抜くヒントだと思っているので、みんながご機嫌で日常を送るための音楽を届け続けたいですね。

―― そして4曲目「もうすぐ大人になっちゃうから」は、エスエス製薬「お守り EVE」キャンペーンソングです。

大人になった今、思うのは、「簡単には大人になれないんだな」ということなんですよね。歳を重ねても、気持ちはずっと変わらない。だけど、それって若いときに言われてもわからないんですよ。私も10代の頃は「大人になっちゃう」って焦っていたし、心配だったし、怖かった。

だから今回、「高校生に届くような曲にしたい」というテーマが決まったとき、「そんなにすぐ大人にならないから大丈夫だよ」ではなくて、<あっというまに大人になっちゃうのかな>って同じ気持ちで寄り添ってあげたいと思いました。自分が高校生のときのリアルな気持ちを思い出しながら歌詞を書きましたね。

―― 実際はいくつになっても、自分が「大人になった」という確信は持てない気がしますよね。

めちゃくちゃわかります。私は、もはや50代の方も60代の方も、みんな気持ちは同じ年だと思いながら生きているんです(笑)。そう捉えるようになった途端に、目上のひとと喋るときも緊張しなくなりました。人間は歳を取っても、見た目がちょっと変わっていくだけ。いつのまにか中身はみんな対等です。

―― コレサワさんは以前の取材で、歌詞を書くときいちばん大切にしていることは、「自分が<あたし>を好きかどうか」だとおっしゃっていましたが、今は変わりましたか?

たしかに、そこも変わらず大事にしていますが、今は「友だちに恋バナをするように歌うこと」かもしれません。だから、難しい言葉を使わないように意識しています。イチファンとしては、椎名林檎さんのようにカッコいい言葉、難しい言葉も歌いこなせたらという憧れもあるんですけどね。コレサワは、なるべく喋り言葉を組み合わせて、わかりやすい歌詞を書くようにしています。

―― 今のコレサワさんにとって歌詞とはどんな存在のものですか?

趣味かもしれません。いちばん好きなこと。1行でどれだけうまく伝えられるか、みたいなところに快感があって。それがバチッとハマったり、みんなに受け入れてもらったりすればするほど、「よっしゃ!」と思います。歌詞を書くことを、仕事だと思わず、大好きな趣味だと思いながらやり続けていけたら最高ですね。

―― ありがとうございました。最後に、これから挑戦してみたい歌詞を教えてください。

具体的に「こういうものを書きたい」というよりか、「この歌詞はコレサワだから思いつくよなー!」って、みんなが思ってくれるような歌詞を、これからも書き続けられる自分でいたいですね。この想像力が尽きるまでは、いろんな物語を歌い続けていきたいと思っています。


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