| アリス (プロローグ)谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | | 世界の行き止まりのむこうに きゃべつ畑 世界の行き止まりのむこうに 幻の国 文字盤の上を 時計の針がまわる 終わりのない時の上を 少女がまわる あの子は アリス |
| 鏡よ鏡谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | クニ河内 | 鏡よ鏡 不思議な鏡 まま母なんかやりたくないの 白雪姫をやりたいの あたし 鏡よ鏡 不思議な鏡 乞食の役は やりたくないの 王子の役を やらせてよ 日毎夜毎 この国の 鏡の部屋に 世界中からおしよせる 手紙たち 言葉たち 涙たち 鏡よ鏡 不思議な鏡 サクランボなんか やりたくないの ストロベリーを やらせてよ 鏡よ鏡 ほんとはあたし きたないからだ 欲しくはないの 真白なのが欲しいのよ 鏡よ鏡 ほんとはあたし やきもちなんか やきたくないの やかない心が 欲しいのよ きょうも朝から忙しい鏡の部屋は 悲しそうな声ばかり 悪い人 弱い人 馬鹿な人 鏡よ鏡 どうしてもだめ それならいいわ 毒入りりんご 白雪姫を殺しちゃえ きょうも朝から忙しい鏡の部屋で 自分の入れた りんごの毒に むせかえる 青くなる 黒くなる 鏡よ鏡 不思議な鏡 お願いだから かなえておくれ 白雪姫になりたいの あたし |
| 魔法使いの恋人が逃げた谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 瀬尾一三 | みんな ねえみんな 出て来ておくれ あのひと乗ったクルマが 遠くなってくよ みんな ねえみんな 出て来ておくれ 泣きながらあのひとが 遠くなってくよ ああ そんなに逃げたきゃ 思う存分逃げるがいいよ ああ 明るすぎる真昼の薄闇の中 夜はいつでもあたしのものさ みんな ねえみんな 出て来ておくれ あのひとの涙から あたしを守ってよ みんな ねえみんな 出て来ておくれ 今ならばひとりきりさ 祭もできる みんな ねえみんな 出て来ておくれよ 暗い夜空に身を投げて 踊り明かそうよ ああ おまえたちだけさ あたしのそばにいつもいるのは ああ 人たちはそれぞれ別々の舟 時に近より また遠ざかる みんな ねえみんな 出て来ておくれよ あのひとのあしたから あたしを守ってよ あのひとの昼間から あたしを守ってよ |
| 青い鳥谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 瀬尾一三 | 月の光の青い鳥 この手が 触れれば黒こげの 月の光の青い鳥 この手が 触れれば黒い鳥 つかまえそこねた ただ一羽 黄金の瞳のその鳥は あたしの背中の思い出を くわえてどこかの遠い空 踊れ静かな 夢のまにまに つかれた心よ ひとり目ざめよ こぼれ落ちて行くものばかり 夜の国へと あたしひとりが陽射しの中で またふり返る きのうのきのう うしろの闇を 闇を 月の光の青い鳥 この手が 触れれば死んで行く 月の光の青い鳥 やけに明るく死んで行く 踊れ静かな 夢のまにまに つかれた心よ ひとり目ざめよ |
| 不思議なアリス谷山浩子 | 谷山浩子と栗コーダーカルテット | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 栗原正己 | あたしはアリス 弟はナルシス 絵本の中で暮らす とびきり美しい とびきり素敵な物語つくる あたしのナイト 闘って死んだ あたしのために死んだ とっても悲しい 一晩泣いたの 涙は出なかった 夜はペパーミント ト・ト・ト 雲はダイヤモンド ド・ド・ド 歌がこぼれる る・る・る 手のひらからあふれちゃう あたしはアリス 不思議なアリス 今15才 あたしはアリス 弟はナルシス ガラスの箱で眠る 素敵なものより素敵な言葉よ 言葉が好きよ やさしいメアリー 血い吐いて死んだ あたしのために死んだ とっても悲しい 歌をつくったの メアリーに贈る歌 夜はペパーミント ト・ト・ト (Good night, good night, my dear) 雲はダイヤモンド ド・ド・ド (Sleep tight, I'm here, my dear) 歌がこぼれる る・る・る 手のひらからあふれちゃう あたしはアリス 不思議なアリス 今15才 (Well, my dear, I long to see you die.) |
| 赤い靴谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | クニ河内 | 知らないわけじゃなかった 一度はいたら死ぬまで 踊りつづける魔法の靴に 出会ったが 私の運のつき 離れられない どうしても 裸足になんかなれない 踊りつづける魔法の靴で 心も体もフラフラ 踊り子と赤い靴 ふたりきりの舞踏会 おまえが破けてこわれるまで あたしが疲れて倒れるまで くるくるまわる 白い花をつみたい 白い雲を食べたい 裸足になっておまえ裏切って でかけても誰も責めないさ だけどだめ 赤い靴 はなれられないどうしても 踊りつづける 眠れない夜 ふたりだけ また 目覚めてる 踊り子と赤い靴 ふたりきりの舞踏会 おまえが破けてこわれるまで あたしが疲れて倒れるまで くるくるまわる くるくるまわる くるくるまわる…… |
| アリス (エピローグ)谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | | ある朝 窓が暗い ある朝 背中が寒い すりきれた いつのまにか すりきれた小さな靴 文字盤の上を 時計の針だけがまわる 一緒にまわってたのに 迷子になった あたしは アリス 迷い子のアリス |
| 北風南風谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | クニ河内 | 旅の子供は 風のいたずら 秋の日暮れにどこかへ消える 子供は遊ぶ不思議な国 半ば本当で 半ばは夢 南風吹けば 帰らない 片道切符の行ったきり TU・TU・TU…… 風はいつでも一本道を ひき返せない もどれない 北風が吹けば 帰って来る 旅の子供たち 帰って来る TU・TU・TU…… 北風に乗れば もうすぐに |
| 二月の部屋谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 瀬尾一三 | その屋敷には、十二の部屋がありました 一月の部屋には 松竹にしめ飾り 二月の部屋には 桜に梅に桃の花 三月の部屋には 赤い毛せんにひな人形 四月の部屋には 菜の花に…… 二月の扉をあけてはならぬ あければ悔やむ あければ悔やむ 二月の部屋はのぞいちゃならぬ 訳は言われぬがのぞけば悔やむ 二月の部屋をのぞけば悔やむと 言われながらものぞくが人情 アー うぐいす とんで出た うぐいす とんで出た 逃げていった 短いおらが春 短いおらが春 逃げていった…… あけてはならぬと言われた扉を あけてみたらばすべてが消えた 黄金の林 星降る沼も 全ては夢よ 全ては夢よ 二月の扉をあけてはならぬ あければ悔やむ あければ悔やむ |
| 雲雀谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | クニ河内 | 誰も信じちゃくれないが お天道さまは くわせ者 誰も信じちゃくれないが アア あたしゃあいつに金貸した 雲にかくれて 出て来ない 雨を降らせて 追い返す 雲雀風情に返すかと アア 知らぬ 存ぜぬ ふみたおす 春はぽかぽか お天道さまだって かくれてばかりはいられまい ンー だから ひゅるひゅる 空に昇っては 雲雀わめくよ 金返せ 金返せ ぴよろろりろい ひやららりろい ぴよろろりろい ひやららりろい よおりろい 春は楽しい季節だってのに あたしひとりが馬鹿をみる ンー だから ひゅるひゅる 空に昇っては 雲雀さわぐよ 金返せ 金返せ ぴよろろりろい ひやららりろい ぴよろろりろい ひやららりろい よおりろい |
| 水蜘蛛谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 瀬尾一三 | 水の面のきらきらひかり集めて糸をつむぎます 日がな一日かたこと 日がな一日かたこと きょうは 水辺にかわいい男 沼の魚をつっている 魚欲しけりゃいくらも 魚あげましょ いくらも あたし あの男 欲しいよう あたしの糸が男の足に優しくからみ ひっぱるよ 糸は心だ それひけ 糸は心だ やれひけ あたしはいつも沼にいて おまえが来るのを待っているよ 優しくしてあげよう おまえのしゃれこうべに 一日 百万遍のくちづけをしてあげる あたしはいつも沼にいて おまえが来るのを待っているよ…… 水の面のきらきらひかり集めて糸をつむぎます 日がな一日かたこと 日がな一日かたこと 日がな一日かたこと 日がな一日 アー…… |
| 夜明け前声がやって来た谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 瀬尾一三 | 夜明け前 潮待ちしてたんだよ 棒っきれを枕に浜で寝てたら 水平線からおかしな声がやって来た 夜明け前 声の言うことにゃよ 「棒っきれどんこれから近くの村まで 生まれた赤ん坊の運命を決めに行かんかね」 「あたしゃこん人の枕にされとって動けないもんで おまえさんひとりで行っとくれ 行けばよいよい 好きにしてよい ひとの命はどうせ短い 夢のまにまに漂うものなら ゆらゆらこぽこぽ ゆらゆらこぽこぽ」 夜明け前 浜で寝てた時 おらあ聞いたんだ おらあ逃げるよ どんどこどんどこ駆けて駆けて駆けぬけて 好きにされるか されてたまるか おらあ逃げるよ 逃げきってみせるよ 足をひっぱられ 袖をひっぱられ ひきずりもどされ しまいにゃ命も 夜明け前 浜で寝てた時 おらあ聞いたんだ おらあ逃げるよ どんどこどんどこ駆けて駆けて |
| やまわろ谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 谷山浩子 | 瀬尾一三 | やまわろ来る来る 心をかくせよ かたく目をつぶれ やまわろ来る来る あたしの中に 食われたらおしまいだ 何だのかんだのあれだのこれだの 心はぐるぐる 何から何までお見とおしだよ かくしてもむだなこと ああ あの人もほら やまわろにつかれた ああ もう二度とほら 体の力がぬけない 心の力がぬけない やまわろ来る来る 心をかくせよ かたく目をつぶれ 夢々 みんな夢 みんな夢だよ なにもない ゆらゆら ああ 気付かなくても 心の奥底 ああ 知らずにもえる 不思議なたきぎがはぜるよ 不思議なたきぎがはぜるよ やまわろ来る来る 心をかくせよ かたく目をつぶれ やまわろ来る来る あたしの中に 食われたらおしまいだ |