Q)KANさんは、CDでも、ライブでも、ホームページでも、常にユーモアというか、遊び心というか、フザケてるというか…、そういうものを感じます…。たとえば、「桜ナイトフィーバー」だと、最後の方に「涙がでちゃうのよ!」って言ってしまうとか、2作前のシングル「よければ一緒に」は感動的な名曲なのに、間奏前に「はいっ!」って言ってしまうとか…、ああいうのは、ついついやってしまうのですか?
はいはい…、まあ、人間性なんじゃないですかね…(笑)。いや、でも、音楽的なことなんですけどね…。「涙がでちゃうのよ!」は、その後の琴の「タラララ ララリラリ」ってフレーズだったりとかね。「はいっ!」もやっぱり、流れ上、みんなで歌う方向に歌詞を持っていってるんで…、まあ、普通だったらドラムのタムだと思うんですよ。「♪そのほうが たの〜しい〜」「ジャジャジャジャン ドン」って、その「ドン」を、僕は「はいっ!」って言ってるだなんですよ。そんなにフザケてるつもりは全然ないんですけどね…。

Q)KANさんとしては、極めて当たり前に音楽的なことだと…?
僕としては、「普通、そういう流れじゃないですか…」って感じなんです。「そこで『はいっ!』って言うことによって特別に人の気をひこう…」ってことではなくて、「流れ上、ここはタムじゃなくて声だな…」ってことなだけなんですよ。だから、「普通そうしないでしょ!」とかよく言われますけど、「僕の中での普通」と「一般的な普通」っていうのがちょっと違うんだと思うんですよ…。

Q)なるほど…、KANさんにとっては、極めて自然なことなんですね…。じゃあ、たとえば、2作前のアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」(2006年)の中に「おしえておくれ」って曲があるじゃないですか。あれを最初に聴いた時、歌が出た途端に、ホントに「ブッ!」って笑ってしまったんですけど、あの、「♪すごい好きぃ〜」っていう歌い方は、フザケてわざとやってるのではなくて、あの楽曲だから自然にそうなってしまったのですか?
そうですね…、はい…。とくに、イメージしてたわけではなかったんですけど、結果的に、あれは岡村ちゃん(岡村靖幸)だったっていう…(笑)。そんなつもりはなかったんですけどね〜。でも、「岡村ちゃんだね」っていうのはあとで言われて…(笑)。

Q)先ほども出ましたが、歌詞以外は浜田省吾さんそっくりの「エンドレス」って曲も、イントロの「♪ Oh〜 Oh …」のフェイクから、まるで浜田省吾さんです…
「エンドレス」は、最初から「浜省さんを作る!」ってそこから始まってますから。で、いまだにお会いしたことはないんですけど、手紙で「こういうことをやりたいんですけど、いかがでしょうか…」って書いて、ちゃんと歌詞入りのデモテープを送ったんです。

Q)それで、どうなったのですか?
もう、すぐ、2〜3日後に「OK」って返事を頂きました、「全然問題ありません」っていう。直接、ご本人じゃないですよ、事務所からですけど。

Q)ホントに浜省さんみたいな曲なんですけど、ただ「ひと風呂 浴びて 海の幸…」とか「ふとんにバタンキュ〜」なんて歌詞は、浜省さんは絶対書かないですよね…
ああ〜、ははは…(笑)。

Q)でも、あの歌詞は、温泉宿を舞台に、宿に着いて、ひと風呂あびて、海の幸を食べて、カラオケを歌って、寝たらイビキがすごくて…って、ちゃんと時間が流れていくじゃないですか。時間の流れとともに、その映像がすごく浮かぶんですよね。最初、聴いた時には、浜省さん風の歌い方もあって、完全にフザケてるのかと思っていましたが、「湯の川温泉」での光景が鮮明に浮かんできて、何か人生のペーソスみたいなものを感じるというか、なんとも言えない気持ちになる…、すごくよく出来た曲です…
ああ…、ありがとうございます…。あの歌詞は、100%実話なんです。

Q)やっぱりそうなんですか! 歌詞に「何の因果か おんなじ名字…」ってありますが、木村さんて方ですか…
はい。札幌のSTVラジオで、1988年からずっと僕の番組のディレクターをやってくれている木村さんて人がいるんです。その木村さんて人が、もう「浜省さん命」って人なんですよ。

Q)カラオケで浜田省吾さんの曲をエンドレスなんですね…
そうそう…(笑)、今はミスチルですけど…(笑)。で、その、札幌に行くと、まず、その人の車でラーメン屋に行くんですけど、車の中でも、もう、ず〜っと浜省さんが流れてるんです…(笑)。

Q)それで、湯の川温泉で、歌詞のようなエピソードが繰り広げられたのですか…?
はい。あの歌は、僕が久しぶりに函館でライブをやるっていうんで、ライブの前に「函館で番組を録ろう」ってことになって、実際に、函館の湯の川温泉に行った時のことなんです。湯の川温泉で、海が目の前のホテルを知り合いの方が取ってくれるって言うんで、取ってもらったんですよ。それで、行ってみたら、8帖の部屋に二人一緒だった…(笑)。世の中そんなに甘くないんだな…って思いましたね…(笑)。だから、「エンドレス」の歌詞は、そこでの本当の話なんですよ。

Q)眠れなかったんですね…?
そりゃもう、めちゃくちゃなイビキですよ!

Q)それ、その木村さんは、ご自身が歌われていることはご存知なんですよね…?
もちろん知ってます。

Q)その木村さんは、聴いてなんと言ってるんですか?
いや、もう、それは、「俺の歌…」って言ってて…(笑)、それも浜省風だから、すごい喜んでますよ。

 


Q)実話と言えば、2作前のアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」(2006年)に入っている「RED FLAG(一般道路速度超過)」も、当然、KANさんがスピード違反でつかまった時のエピソードなんですよね?
そうですね。実話ですけど…でも、あれは…なんて言うんですかね…、事実関係とかだけじゃない「考え方」とかも入っているじゃないですか…。あと「WHITE LINE 〜指定場所一時不停止〜」っていう曲も、交通違反シリーズであるんですけど、それも、基本、事実をもとにやってます。「エンドレス」は、書いてること全部本当…(笑)。

Q)これも、先ほども出ましたが、最新アルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」(2010年)に入っている「REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜」も、最初に「♪353円です 168円です…」って歌を聴いた瞬間にひっくり返りました…。でも、ああいうこと、「近所のスーパーの店員さんが可愛かった…」みたいなことは、交通違反と同じように、日常、誰でも経験あると思うんですけど、やっぱり、光景が浮かびますし、聴き終わったあとに、切ないような何かザワザワした気持ちになります。そういう何気ない日常を切り取って歌詞のテーマにすることと、その構成と演出、人生においての普遍的な何かを感じさせ、さらに、メロディに乗せるというのは、奇跡に近い天才的なワザだと思います…
ああ…、あれも、実話をもとにしてる。スーパーに可愛いコがいて、そのなんかこう…「レジ子スター」って言葉を思いつちゃったんで〜(笑)、「よしっ!コレだっ!」ってことで、「これでPerfumeみたいなのを作ろう!」って思ったんですよね。

Q)「ラジオ・スターの悲劇」(1979年、バグルズ)をもじっていると思いますが、「レジ子スター」って言葉が思いつくのがすごいです…
うん、これは、自分の中でも、すごくよく出来たと思ってて、納得度がめちゃくちゃ高い曲ですね。だからこそ、こういうのをアルバムの1曲目にしておかないと、またオフザケと思われるんですよね…(笑)。まあ、どっちみち、1曲目にしてもオフザケと思われてるんですけど…(笑)。

Q)はい…、たぶん、半分くらいはそう思われてるかもしれません…。でも、この曲は、本当に緻密に作られていて、よく出来ている曲です…
うん…、音楽を作ってる人たちは、それこそ、スキマスイッチの大橋くんとかは、「あの曲はスゴすぎる!」って言ってくれてますけどね。「どうやったら、あの歌詞が完成させられるのかが、想像つかない…」って…。まあ…でも…、滅多にいないですね…そういう人は…(笑)。

Q)シンプルに、バラードで感動するのは、最新アルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」(2010年)収録の「バイバイバイ」ですね。メロディも切なくて奇麗ですし、別れのシーンが浮かんで、気持ちが伝わってきます…
はい…。これが一番…そうかもしれないですね…。



Q)2002年から2年間は、パリに移住され、音楽学校「エコール・ノルマル・ドゥ・ミュジーク・ドゥ・パリ」ピアノ科(ノン・プロフェッショネル)に入られていますが、ピアノ留学のきっかけは何だったのですか?
きっかけは、もう単純に「逃げたい…」「休みたい…」って言うかね…。90年代って「毎年、ニューアルバムを出して、毎年、ツアー」っていうのが当たり前だったんですね。それで、それこそアルバムが次の年に出ないなんてことになったら「おい!どうするんだ!」くらいの非常事態みたいな感じになってて、アルバム出してツアーやったら、もう次のアルバムを作り始めないと間に合わない…みたいな…。「そんなの、できるわけない!」って思ったんですよ…。

Q)まだ、CDがすごく売れていた時代ですね…
なんか、すごく消費している感じがしてましたね。「買ってる人も聴いてんのかな…? みんな…?」っていうくらいの感じもあって、「このまま、やり続けることは絶対に出来ない!」って思ったんです。とにかく、「休みたい」っていうことは、ずっと会社(事務所)にも言ってて、それで、やっと、「じゃあ、好きにすれば…」っていうことで…、もう…逃亡ですね…(笑)。

Q)パリ留学は、休むための口実だったのですね…
せっかくだから、ピアノはちゃんとやりなおした方がいいかなあっていうのはありましたけど、でも、もう、とにかく逃げだしたくて、それこそ、その頃は、CDを聴くのがつまんなくなってたんですよね。それは、音楽家としてはアウトじゃないですか…。CD聴く気にもならないし、たとえば、なんかで聴かなきゃいけないってことがあっても、全然、楽しくもなんともなくて…、これは完全に死んでるなって思って…。それで、とにかく逃げたくて…。


Q)消耗しきって、疲れてたんですね…
うん…。で、パリでは、最初、語学学校に行ってたんですけど、当然、語学ですから、どんどん複雑になっていくわけじゃないですか…。

Q)フランス語は、とくに難しいですからね…
うん、まあ、フランス語に限らず、習いごとはなんでもそうですけど、行けば行くほど複雑になっていくもんですからね。日本人は、ちゃんと勉強するので、いろんな国の友達がいる中でも、初期段階では、日本人が優秀なんですよ…、宿題もきちんとやるし。だけど、どんどん難しくなっていくと、アルファベットを使ってるお友達は、ある瞬間からコツをつかんじゃったら、急にビュ〜って伸びるんですよね。「あっ、わかっちゃった〜フランス語〜」みたいになっちゃうんですよね…。根本に流れているものが、大きく分けるとそっちの人じゃないですか。

Q)だから、ヨーロッパには何カ国語も喋れる人が多いんですね…
そうそう。それでね、しかも、日本みたいに、きちっとみんな同じレベルになるように…なんてやり方はしないですから、みんながびゅんびゅん伸びていったら、本当についていけなくなるんですよね。本気で勉強しないと。それで、毎日、すごい勉強してたんですけど、ある時、「これさぁ〜、ピアノ弾いた方がいいんじゃないの〜?」って思って…(笑)、「オレ、フランス語でこっちで仕事するわけじゃないしなぁ〜、日本に帰ったら音楽やるんだもんな〜」って思って…、で「やめた!」って思って(笑)。

Q)それで、半年で「世界カタコト協会を心の中に設立」されたのですね。
そう。それで、ピアノの音楽学校に行くことにしたの。

Q)じゃあ、最初から、ピアノ留学が目的でパリに行かれたんじゃないんですね?
そう。ピアノは行った年の秋からですね。その学校には中途で入ったんです。アメリカ人の友達にゴリ押しして入れてもらって…(笑)。

Q)そのアメリカ人の友達とは…?
僕が、その学校に入るにあたって、そこの卒業生でピアニストのユミちゃんて子が友達にいたので、一緒について行ってもらおうと思ってたんです。そしたら、今は結婚してますけど、その当時、ユミちゃんの彼氏だったアメリカ人のジミーってヤツが、「こいつら二人じゃ無理だ」って思ったみたいで(笑)、一緒に来てくれたんですよ。

Q)それで、そのジミーが交渉してくれたのですか…?
で、最初、そのユミちゃんが、受付で、中途で入りたいんですけどって言ってくれたんだけど、受付の人には「来年からじゃないとダメです」って言われちゃったんです。そしたら、ジミーが、「ホラ見ろ!」っ感じになって、「とにかく学長に会わせてくれ」って言ったみたいで、そのあと学長の部屋に通されたんです。それで、ジミーが学長に「この人は、日本で一番有名なシンガーだ」って話をはじめて、「日本の一番有名なシンガーがここに入るって言ってるのに、あなたは入れないんですか?」くらいの勢いで言ってくれて…、もう、上からですよね…、アメリカ人らしく。

Q)ジミーすごいですね…
うん、ジミーすごい。それで、学長もとうとう「で、いつから?」ってなって、そしたら、ジミーがすかさず「tomorrow〜」って言って(笑)、「えっ、うそ!あした〜?」って…(笑)って思ったけど、僕もジミーに合わせて「Yes」って言って…(笑)。それで、中途で入れたんですよ。アメリカ人てスゲ〜って思ったね〜。

Q)そもそも、パリはもともとお好きだったのですか…?
それは、もう憧れですね…単純に…。

Q)どうしてパリに憧れてたのですか…?
いや〜だって〜、素敵じゃないですか…(笑)。

Q)もちろん素敵ですけど…
それは、もう普通に、みんながファッション雑誌見て素敵だなって思うのと全く同じです。

Q)フレンチポップスとか、フランスの音楽も聴いていたのですか?
いや、全然。音楽ってことじゃないですね。もちろん、モスクワとかにも住んでみたいってのはあったんですけど、ただ実際は難しいだろうなって思って…、奥さんも一緒だし。で、まあ、アメリカは…、僕はアメリカ嫌いなこともあって…英語圏ってこともなかったですし…。だから、やっぱパリ。人生の中で、どっか住んでたことがあるって言いたいのは、やっぱパリだよね〜って(笑)。



Q)パリから帰ってきてから、KANさんの音楽が大きく変わったと感じていますが、ご自身でも、何か変わったと実感していることはありますか?
そりゃもう、いっぱいあります。なんて言うんですかね、あの〜、まあ、デビューしたのも幸運だし、すごく多くの人に知られたのも幸運だと思うし、なんか、それまでは雰囲気でやってきてたんだな〜っていうのも感じるというか…。

Q)あらためて、それまでのことを客観的に見つめ直すことができたのですね…
たとえば、それまでっていうのは、こういうインタビューでも、僕がどういう音楽を出してるということをわかってもらって話すじゃないですか。だけど、フランスに行くと、「あなたは日本で何をやっている人ですか?」って聞かれるわけですよ。それで、その学校のピアノのレッスンの時に、ある日、先生が来なかったことがあったんです。個人レッスンなんで、僕の前のフランス人が待ってて、僕も待ってて、次の中国人も来てて、「先生来ないね…」って言ってて、「どうする?電話しますか?」って言ったら、「電話持ってるんだったら早くしてよ!」って言われて、電話したら「今からすぐ出ます…」みたいな…。「なんで、今からなんだよ〜」とか思いながら、3人で待ってたんですよ。そういう時に、ピアノがある場所で、フランス人のお友達と、中国人のお友達がいて、「じゃあ、あなたが日本でやってる音楽を聴かせてよ…」ってなるわけじゃないですか…。

Q)それで何を歌ったのですか…?
その時、なんかちょろっとはやったんですけど、「ああ、いいよ〜!」って堂々とやれる感じになれない自分がすごくマズイなって思ったんですね。その時点で、もう15年くらいの日本でのプロミュージシャンとしてのキャリアがあるにも関わらず、ピアノひとつでなんかやれって言われても、自信を持ってやれないっていうのは、「これはアーティストではない!」って思って。で、日本に帰ったら、まず弾き語りをやろうって思ってたんですよね。

Q)それで、"本物のアーティスト風の活動"と称して、現在も続いている『弾き語りばったり』と題したピアノの弾き語りツアーを始められたのですね…
そうです。それは、もうめちゃくちゃ大きい変化だと思うし、もし、僕がフランスに行ってなかったら、いろんな人に「KANくん、弾き語りやれば〜」って言われても、まだ「いや〜」って言ってたと思いますよ。バンドは、もちろん好きですから、それはやるんですけど、それとは別に、ひとりだけで、ちゃんとステージが出来て、お客さんが納得してくれて、また見に来てくれる…って、そういうことを、とにかくやれるようにならないといけないって思いましたね。

Q)ファンの人たちはもちろんですが、KANさんの音楽を聴いたことのある人にとっては、「愛は勝つ」は、KANさんの魅力のごく一部と考えていると思いますが、世間一般では、『KAN=「愛は勝つ」の人』と思われている人も多いと思います。それに関しては、どう思われますか?
えっと〜、単純に「ボク=愛は勝つ」ってなってるってことは、それ以外の曲が、それ以外のいわゆるヒット曲的なものがないからだと思うので、これは、僕が、もっと、そういう曲をいっぱい持たないと…(笑)。でも、僕が持とうと思って持てるものじゃないですけど…。

Q)時代もありますからね…
うん…。まあ、でも、多くの人が知っている曲が複数あれば、イコール「それ」にはならないわけじゃないですか。だから、まあ、頑張らなきゃな…って思ってるのと同時に、「まあ、ないよりはマシだな」って思ってるのもあるし…(笑)。

Q)今は、ああいう風に国民的な大ヒット曲が出る世の中ではないですが、でも、意識としては「愛は勝つ」みたいな「ヒット曲を作ろう」という意識でやられているのでしょうか…? 音楽活動も28年になりますが、今は、どういう意識で音楽を作られているのでしょうか?
う〜ん…「ヒット曲」というものの定義がわからないので、「ヒット曲を作ろう」って意識は全くないですね。もちろん、「愛は勝つ」の当時もそういう意識はなかったですし、「ヒット曲を作ろうって思って作れる人はいるのかな〜?」って思いますけどね…。



Q)1990年代には、「さんまのからくりTV」初代エンディングテーマ「言えずのI LOVE YOU」、1993年の三ツ矢サイダーCMソング「まゆみ」や、他にも、テレビ番組で使われた「丸いお尻が許せない」や「プロポーズ」、「50年後も」「君がいなくなった」「明るいだけのLove Song」「君から目が離せない」など名曲はたくさんありますが、パリから帰られてからは、本当に自由に、のびのびと作られている感じがします。本当にやりたいようにやっている感じがします…
あっ、でも、それは、僕、昔からやっています。自分で歌詞を書くようになってからは。そういう意味では、プロデューサー不在でずっとやってきているような感じなんで…。なので、今後も、まあ、ヘンな言い方ですけど、「いかに自己満足を追求していくか」ってことだと思うんですよね。

Q)そう思います…
だって〜、まあ、時代って言ったって、時代を選んでいるわけでも、なんでもないわけじゃないですか。たまたま結果として、そういう時代で、結果が残っているのに対して、今、思い返してそうだという風に見ているだけで、リアルタイムで「今、どんな時代か」なんてのは誰もわからないし、コントロールできないと思いますし、あとになんないと、どういう時代かわかんないんだと思うんですよね…。

Q)コントロールできないことを気にしてもしょうがないと…?
だから、それは、時代がどうだからとかは、もう全く考えてないです。考えようがないと思うし…。で、お客さん…、どういう人が聴くかっていうのも、こっちは選べないですし、聴いた人、それぞれ、みんな違う感性を持ってるわけで、いろんな人が、違う聴き方と、違う感じ方をしているから、聴き手がどう思うかってことも、これも、絶対わからないことだと思うんですよ。その…、おおまかな予想はしたとしても、それは、ほとんど意味ないっていうか…。たとえば、「聴き手がこう思うんじゃないか…」って話があったとして、「それは何を根拠にそう言ってるのか?」って思うんですよね。もちろん、出来るだけ多くの人に聴いてほしいと思ったら、それは、もっとわからないはずなんですよね。てことは、やっぱ「自分が何をやったら一番面白いのか」ってことだけなんですよね。

Q)だから、「徹底的に自己満足を追求することが全て」なんですね…
うん、もう、自己満足を追求するってことが基本だと思います。「これは最高に面白いな」って思うものを作る…。それがどう受けとられるか、どう売れていくかどうか、それはちょっとオレはわかんないなあ…っていう感じ。それは、売る担当の人に、頑張ってくださいよっていうことで…、もちろん、売る担当の人も、どうやったらどうなるか、なんてことはわからないと思うんですけど。

Q)KANさん自身は、そういうマーケティング的なことは全く考えてないのですね…
マーケティング的なことを考えて作れないですし、どっちにしろ、僕にはその才能はないと思いますね…、なんとなく…(笑)。「なんかビジネスやれ」って言われたって、なんか、すごいお金だけ使って終わっちゃいそうな…(笑)、「ですよね〜」なんて言いながら…(笑)。

Q)音楽制作に関わる全てをご自身でやられているから、いいんでしょうね…
まあ、もちろん、現実的に、レコーディングの確実な数字までは把握していないですけど、「なるべく無駄は省いてやろう…」とかそういうのはありますね…、昔と違って…。ただ、今、もう、打ち込みも本当に良くなっていますしね。音色とかニュアンスとかも、すごいいいマニピュレーターでやってもらえてますからね。まあ、でも、弦とか…、もちろんギターもそうですけど、生じゃなきゃいけないものはありますけど…。

Q)今、日本の音楽シーンを見て感じてること、思うことは何かありますか?
いや〜これも〜、いろいろありますけど、たとえば、その、配信で何百円でダウンロードしてMP3で聴くっていうのも、なんか「オレはやだな〜」って思うけど、でも、それも、別に、否定する筋合いでもないですし、自分で変えられることでもないじゃないですか…。

Q)そうですね…
だから、うん…、「やだな…」ってことはいろいろありますけど、「しょうがないな…」って思ってるし、まあ、僕はパッケージCDを買う派なので…。でも、そういう意味では、CD自体が、レコードを知ってる人からするとね、すごい味気ないじゃないですか…。まあ、でも、それにも慣れちゃいましたけどね…。今の日本の音楽状況とか考えることはありますけど、まあ、自分で好きなことをどれだけやれるかってことは、結局、同じですよね。

Q)「関係ないよ…、オレはやりたいようにやる…」って感じですか…?
いや、「関係ないよ」って感じじゃないですけど、だって、やっぱ17歳の女の子に聴いてほしいですもん(笑)。だから、「大人の歌ネット」よりは、「女子高生・歌ネット」のカテゴリーに入りたいですもんね…(笑)。そうなんですよね〜。まあ、でも、あとは…、今から思いっきり極端な年齢詐称をしてみるとかね…(笑)。「絶対ウソだろ!」っていうような詐称をしてみるとかね…(笑)。でも、詐称してもな〜、意味ないか…(笑)。

Q)まだまだ聞きたいことがありますが…残念ながら時間がきてしまいました…。ありがとうございました!
はいっ! ありがとうございます!

(2015年2月、取材・文:西山 寧)


  【コンサートツアー】

弾き語りばったり #19 「今ここでエンジンさえ掛かれば」
2014年10月 〜 2015年6月まで、全国27公演!

ツアーの詳細はコチラ!

  【レギュラー番組】

STVラジオ(北海道)「KANのロックボンソワ
毎週土曜深夜 24:00〜25:00

FM COCOLO(大阪)「KANと要のWabi-Sabiナイト
毎週土曜日18:00〜19:00 再放送:金曜日22:00〜23:00


シングルCD 「 桜ナイトフィーバー 」  

2015年 2月 25日発売
zetima / UP-FRONT WORKS
EPCE-7088 \1,000(税別)

<CD収録曲>

01 桜ナイトフィーバー
02 表参道
03 桜ナイトフィーバー (instrumental)
04 表参道 (instrumental)

  

最新アルバムCD+DVD
「 カンチガイもハナハダしい私の人生 」
 

2010年 3月 10日発売
zetima / UP-FRONT WORKS
EPCE-5700/5701 \3,200(税別)

<CD収録曲>

01 REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜
02 小学3年生
03 ピーナッツ
04 バイバイバイ (studio recording)
05 青春の風
06 ordinary days
07 オー・ルヴォワール・パリ
08 よければ一緒に (full size)
09 予定どおりに偶然に (with ASKA)

  

DVD 「 KAN BAND LIVE TOUR 2014【Think Your Cool Kick Yell Come On !】 」  


LIVE DVD発売!
2014年3月28日、NHK大阪ホールでのライブをほぼ完全収録!
DVD2枚組 (約2時間50分/全22曲)

2014年 10月 15日発売
zetima / UP-FRONT WORKS
EPBE-5497-8 \7,020(税別)


  


1962年9月24日生まれ、福岡県福岡市出身のシンガーソングライター。本名は「木村 和(きむら かん)」。1987年、ポリドールよりシングル「テレビの中に」と同名のアルバムでレコードデビュー。これまでに、シングル34枚、オリジナルアルバム15枚を発表。1991年、「愛は勝つ」がテレビ番組のエンディングテーマに使われ大ヒット。シングルは200万枚を超えるセールスとなり、オリコンチャートイン52週のロングヒットを記録。第33回日本レコード大賞(ポップス・ロック部門)受賞、第42回NHK紅白歌合戦にも出場。その後、「プロポーズ」「言えずのI LOVE YOU」「まゆみ」「丸いお尻が許せない」「さよならだけどさよならじゃない」「死ぬまで君を離さない」「いつもまじめに君のこと」など多くの曲がCMやテレビ番組で使われる。

2002年から住居をパリに移し、クラッシックピアノの学校に通う。2004年に帰国し、弾き語りツアー「弾き語りばったり」を開始。その後、桜井和寿(Mr.Children)やスターダスト☆レビューらとユニットを結成したり、キマグレン、一青窈との共作曲を発表するなど、ソロ以外でも活動の幅を広げる。中国・上海や、ロシア・モスクワなど海外イベントにも出演。また、これまで、今井美樹、松本伊代、薬師丸ひろ子、SMAP、後藤真希、平井堅、真野恵里菜、つるの剛士らにも楽曲を提供。2013年発売、森高千里が歌った「くまモンもん」もKANの作品(作詞は小山薫堂との共作)。好評のバンドライブでは、コントや寸劇、ダンス等、様々なパフォーマンスが盛り込まれ、自身「音楽ギャグエンターテイメントショー」と呼んでいる。ユニークで楽しいオフシャルサイトは必見。

KAN オフィシャルサイト
KAN「桜ナイトフィーバー」"逆"段階的試聴 (制作過程が聴けます)
歌ネット・小貫信昭の「名曲!言葉の魔法」 〜第30回 KAN「愛は勝つ」〜

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