INTERVIEW
「みんなが見たいのは苑子の笑顔だよ!」って言葉…。

ここからは新曲の「エール」についてお伺いしていきたいと思います。この曲は、今までの胸キュンソングとはまた違った“応援歌”ですね。

井上:ラブソングはこれまでたくさん作ってきたし、ちょっとパーティー感のある楽しい曲にしたかったんです。それから今回は、白戸佑輔さんという方が作曲をしてくださったんですけど、初めて曲を聴いたときにもう「これはエールだ!応援歌にしよう!」って思いました(笑)。すごくキラキラしていて、恋愛を描いた歌詞にも合うと思ったんですけど、こういう曲調だからこそあまり重くなりすぎずに誰かの背中を押せて、いつ聴いても「頑張ろう!」と思ってもらえる歌になるんじゃないかなぁって。

まず、<がんばれが逆にプレッシャーだよね、言わないわ>というフレーズが印象的でした。あえて「頑張れ」という言葉は使わずに応援歌を作ろうと意識されたのですか?

井上:そう、もちろん「頑張れ!」っていうのが心の中で思っている言葉なんですけど…。なんか、私がその言葉をかけられたときにどう思うかなって考えたんですよね。すっごい嬉しいし、よし!って思えることもあるけど、でもめちゃくちゃ切羽詰まっているときに言われると、逆に自分をもっと追い詰めてしまうんじゃないかなぁとも思ってしまって。だから私が実際に誰かを応援するなら、「頑張れ!」じゃなくて「一緒に頑張ろう!」という方に持っていくだろうと、こういう歌詞になりましたね。

一方的なエールではなくて、二人三脚のような応援歌になっているのが素敵だなぁと感じました。この<君>と<あたし>はどんな関係の二人をイメージしたのでしょうか。

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井上:私の中の設定だと<君>はサッカーの試合間近の男の子なんです(笑)。で、<あたし>は友達なんだけど、彼のことがちょっと好きで…っていうイメージです!でも、女友達同士としても受け取ってもらえるように書きたいなぁと思っていたので、私が高校の頃に一番仲が良くて、実際にずっと支えてもらった女の子のことも同時に考えながら作りました。

この二人の絆は<何度もぶつかったけれど そばにいたじゃんか なんでも言ってほしいの>などのフレーズからも伝わってきますね。苑子さんご自身は、親友に本音をぶつけるタイプですか?

井上:はいっ(笑)!むしろ申し訳ないくらい言っちゃいますね。相手の気持ちも考えるようにはしているんですけど、嫌だと思ったことは伝えないとお互いに気持ちよくないじゃないですか。我慢していたら自分の中に降り積もっていたものが、きっといつかどこかで良くないことになっちゃうんじゃないかなぁって。だから、今の違うでしょ!って思ったら「いや、私はこう思う!」って絶対に言います。まぁ私すっごいワガママなんで、もともとガッと言っちゃうタイプなんですけど、それでもそこで和解し合えるとまた今まで以上に仲良くなれる気がするというか。この人とはずっとやっていけるって思うんです。嘘はつきたくないですね、自分に。

苑子さんが誰かから言われて嬉しかった<エール>の言葉ってありますか?

井上:メジャーデビューちょっと前に、私が音楽活動のことでいろいろ切羽詰まって、悩んで、曲が書けなくなっちゃった時期があるんですよね。そんなとき、まさに歌詞に書いた<あたしが泣いた日に 一緒に泣いてくれた>友達がいて。女優さんをしている子なんですけど、その子自身もこれからどういう方向性に行こうって悩んでいたらしく、お互いにぐちゃぐちゃになってしまって。でも、だからこそ励まし合って、とりあえず悩んでいたこと全部忘れて、スタバ飲んで(笑)、もう一回明日からやってみよう!って思うことができて。そのときに言ってくれた「みんなが見たいのは苑子の笑顔だよ!」って言葉に、一番背中を押されましたね。

素敵なお友達ですねぇ…!「エール」にはそんな実体験から生まれた気持ちも込められていたんですね。

井上:そうなんですよ、私の曲は今までも具体的なストーリーは妄想がほとんどなんですけど、その中に自分が感じたことのある本当の気持ちを書いたりすることがすごく多くて。あとラブソングだと「もし私がこの主人公だったらこういうふうに思うだろうな」ということを入れたりとか。だからそういう意味では実体験というか、リアルとフィクションが混ざっている感じですね。

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では、「エール」の歌詞でとくにご自身がお気に入りのフレーズを教えてください。

井上:うーん…<あたしの番よ>かな。なんか“前は君に助けられたから、今度は私が支えるんだよ”っていう気持ちをちょっと軽い感覚で伝えられる言葉を探していたんですよ。「前向きな!」とか「ほら行くよ!」とか。「頑張れ!」って気持ちが重すぎると、相手もしんどくなっちゃうかなぁという思いがあったので。そしたら<あたしの番よ>っていう、良い具合に背中をポンッっと押せるようなフレーズが出てきたので、自分でも好きな言葉ですね。

また、「エール」を含め、苑子さんの歌詞はほとんどが<あなた>ではなく、<君>という言葉を使っているような気がします。

井上:<あなた>っていうと距離を感じてしまうんですよね。ちょっと丁寧な言葉なのでバラードには合うかなぁと思うんですけど。今回みたいな楽しい曲とか、胸キュンのラブソングとかだと<君>の方がもっと自分との距離が近いというか、聴いてくれる人の日常にも寄り添えるような気がします。そうですねぇ…<あなた>は私がもうちょっと歳を重ねて、20代くらいになったら使おうかなって思っています(笑)。



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