INTERVIEW
「歌詞って、鏡だと思うんですよ。」

普段はどのように曲作りを行っているんですか?

Yu:僕らの場合ちょっと特殊なんですよね。バンド結成当初、あらゆる作曲方法を全て試した結果、一番しっくりきたのが“ディスカッションをしながら作っていく”という方法で。まず、楽器を持たずに「どういう曲を作ろうか」という話し合いから始まるんです。そこから「じゃあテンポはこれくらいかな」ってドラムを打ちこんで、「じゃあこういうコードはどう?」って、少しずつ4人で作っていくスタイルなんです。そしてある程度トラックの全体像が見えたら、それに合うメロディーを引き出そうと4人で発表&意見し合って、良いものを採用する流れですね。歌詞だけは僕がお持ち帰りします。

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歌詞を書くときに一番大切にしていることは何ですか?

Yu:自分が聴きたい言葉かどうかかなぁ。「僕自身はそういう恋愛の考え方はしないけど、気に入ってくれる人もいるかもしれないから…」というような自分が納得できないラブソングを書くことはないです。言われたいワード、聴きたいフレーズ、それをいかにサウンドやメロディーに乗せていくかということを大切にしていますね。まず僕は私生活でも嘘がつけないんですよ。だからたとえば、彼女がいて自分が浮気していたとするじゃないですか、たとえばですよ(笑)、でも絶対に嘘をつかずに乗り切ると思います。

…どういうことでしょうか(笑)。

Yu:僕に浮気相手がいるとして、いや本当はそんなことはないですよ?でも仮にいたとして、夜にその子と会っていたとします。で、付き合っている彼女に「昨日の夜は何してたの?」って聞かれたら「友達といた」って言うんですよ。浮気相手も一応友達だから嘘ではないでしょ?…ごめんなさい、そういうちょっとズルイ人間なんです(笑)。まぁ本当に良くも悪くも嘘がつけないので、キャラを作ったりもしないですね。歌詞もすべて等身大の自分で書いています。

以前、歌詞を「あまりスムーズに書けることはない」ともおっしゃっていましたね。今はいかがですか?

Yu:最近スムーズにかけるようになってきたんですよ!やっと自分の作詞スタイルが築けてきたかなぁという気がしています。ちょっと前までは“作詞の日”を決めて、トラックやメロディーに乗る言葉を机に座ってひたすら考えながら書いていて。でも今は、曲を聴きながら買い物をしたり、散歩をしたりして、ワーッと言葉のイメージが浮かんできたらその言葉をノートに書き留めて、あとから音にハメていくような書き方なんです。すごく<感覚的>になってきたなと思います。

歌詞がいいなぁと思うアーティストを教えてください。

Yu:めちゃくちゃ王道なんですけど、Mr.Childrenさん、BUMP OF CHICKENさん、RADWIMPSさんはやっぱり三大ですよね。そういえば最近ふと口ずさんでいたのもミスチルさんの曲だったな。“幸せすぎて大切な事が 解りづらくなった 今だから”〜♪っていう…「Everything (It's you)」か。そういうフレーズをふと思い出したりもします。

また、アイドラさんは去年から自身がディレクションを務めるファッションブランドも設立されたんですよね!ファッション制作と音楽制作に通じるところはありますか?

Yu:僕からするとファッションも音楽も言葉も全て通じているというか、一緒ですね。どれも並列で、誰かに何かを伝えるための大切なツールなので、同じように可愛がっています(笑)。正直、このバンドをやる前はいろんなことに興味がありすぎて自分がどういう仕事につけばいいかわからなかったんです。でも、“バンド”というものには、僕がやりたかったものがすべて集約されていました。言葉は歌詞で表現できて、映像はPVで表現できて、デザインはバンドグッズやCDジャケットで表現できて、舞台演出はライブで表現できて。だからアイドラは作品のいろんなことを自分たち自身で手がけていますね。バンドは、やりたいことが全て叶う天職です。

I Don't Like Mondays.は、これからどんなアーティストになっていきたいですか?

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Yu:最初に言ったことと重複してしまうかも知れないんですけど、J-POPの歌詞の良さと洋楽の良さを両方とも取り入れたバンドになっていきたいと思います。リズムや響きの良さだけを重視して、全英詞で歌うことも簡単なんですけど、でもそれじゃつまらなくて。日本語で「あ、ここでこんなこと言えたわ」という瞬間が嬉しかったりするんです。たとえば、今回の「TONIGHT」では、大サビで英語をずっと歌っているなかでふと<貴方とならきっと迷わない>という一行を違和感なく綴れたんです。これはこの曲の軸となるワンフレーズになったなぁって。そういうのを考えるのも楽しいんですよね。だから歌詞の魅力もいいバランスで伝えていける楽曲を作っていきたいです。

では、最後に歌ネットを見ている方にメッセージをお願いします。

Yu:歌詞って、鏡だと思うんですよ。自分の心情を綴ることはもちろんですけど、それを読んで受け取ることも同じで、そのときに感じた気持ちが今の自分なんですよね。だから、ある曲の歌詞を違う精神状態の自分が読んだら感じるものは変わってくるだろうし、年を重ねて10年後くらいに読んでもまた違うだろうし…。だからその時々の感じ方を楽しんでほしいですね。

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