20周年イヤーに突入!国民的ユニットの過去・今・未来…

 今年、20周年イヤーに突入するEvery Little Thingが、待望の新曲をリリース!表題曲「ANATA TO」はメナード「フェアルーセント」CMソング!心と体が弾むようなサウンドと言葉の響きが心地よいナンバー!

 20年間でほとんど喧嘩をすることがなかったと言うELT。絶妙な距離感を大切にしながら走り続けてきたお二人の音楽への想いとは!?あの名曲「fragile」の歌詞にはボツ作があった!?気になるあんなことからこんなことまで、たっぷりお聞きしました!  
ANATA TO 作詞・作曲:Kaori Mochida・Andy Platts
      Jodie May Seymour・Masaya Wada
キキキキスミー アイララララブユー ハハハハグミー And I live with you
申し分ないくらいの あなたに逢えた アアアイラブユー ララララブユー
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INTERVIEW
「ものすごい速さの中で過ぎてしまったこと…」

ELTさんは今年20周年を迎えられますが、20年という年月をどのように感じますか?

持田:私は18歳の時にデビューさせていただいたので、まず18周年を過ぎた頃に、“持田香織”として生きてきた18年間をELTとしての活動時間が越えていくんだなぁという不思議な感覚がありました。そう考えると、20年という時間もやっぱり短くはないですね。自分の父親は今73歳なんですけど、同じ職場で同じ人たちとずーっと働いているんです。きっと持続するからこそ見えてくるものってありますし、それはやっている本人にしかわからないんだろうなぁと思いますね。

伊藤:特に音楽の世界では20年って長いですよね。デビュー時には1つのグループをこんなに続けられるなんて夢にも思っていませんでした。でも節目に振り返ってみて感じるのは、20年も経ったんだなぁということではなく、全然20年やった感がないなぁというか、もっと頑張らなきゃなぁという思いです。それはここ毎年考えます。

お二人は喧嘩をすることなどあまりなさそうですよね。

持田:一朗さんもすごく大人ですし、あんまり意見を押し付けるようなタイプではないので、ほどよい距離感でお互いの位置関係を確認しながらやってこれましたねぇ。そんなに多くを話し合ったりはしませんけど、それぞれが目的意識を持ってやってきた結果、ここまで続けられたのかもしれないです。すごくありがたい環境だと思います。

では、活動してきた中で大きな出来事というとなんでしょうか?

持田:ん〜…。そもそもELTは意を決して「これをやろう!」ってデビューしたタイプのグループではなかったんです。一朗さんも急に呼ばれて参加した感じでしたし(笑)。だから“Every Little Thing”という看板を背負って音楽をやっていくことも、肝心の五十嵐さんが抜けることも、ものすごい速さの中で過ぎてしまったんですよね…。

伊藤:ホントにそうでしたね。

持田:でも、二人で音楽をやっていくと決意してからいろいろ模索しました。もちろん五十嵐さんの楽曲を愛してくれる人たちがいて今の自分達があるのは大前提ですけど、時にはそれまでのELTからかけはなれたこともやってみたり。逆に、五十嵐さんのサウンドに近づけてみたりということも挑戦するようになりましたね。そこへ時間がうまく味方してくれたりして、全てが今に繋がっているんじゃないかなぁと思います。

ELTとしての変化を感じる面はありますか?

持田:音楽ではないところで出て行ったとしても、多くの方々に認知してもらえるようになったことは大きいですね。一朗さんはバラエティーに出てくれていますし、私も個人としてテレビに露出させていただく機会が増えました。ライブへ幅広い年代の方が足を運んでくださるのも強みだなぁと。私の姉の子は高3と小4なんですけど、それくらいの世代の人たちが「ELTのもっちーだ!いっくんだ!」なんて口にしてくれるのは嬉しいですよ。そういうありがたさを軸として、私も一朗さんも活動していけば、これからもいろんな可能性があるんじゃないかなぁと思います。

photo_01です。

ちなみに、伊藤さんが出演されるバラエティーはチェックされますか?

持田:自動録画されますね、ELTで録画登録してるので(笑)。

伊藤:あ、勝手に録画されちゃうんだ!それは失礼しました(笑)。テレビは番組によって独特のカラーがあるので、それに上手く対応できてるとは思ってないんですけど、ELTがあるから気が楽なところはありますね。番組を観た人が「曲を聴いてみようかなぁ…」って流れになってほしいという思いでやってます。

持田:そうやって一朗さんが出てくれるのはすごく頼もしいですよ。ライブになればちゃんとギタリストであるし。多面性があるってことは人として魅力的だと感じるので、そういう意味でも引っ張ってくれているなぁと思いますね。

変化という面で、伊藤さんはいかがですか?

伊藤:デビュー時、スタッフさん含め周りは、僕や持田より年上の方ばかりだったんですよね。だから曲をやるにしろ「どんな気持ちを込めてこの曲を演奏しているの?」といったダメ出しをたくさんされました。当時は大人の言うことを聞いて、自分達のやることに精一杯だったからそこを考えるまでに及んでいなかったと思います。でも活動をしていく中で徐々に、持田はボーカルとして大切な自主性がものすごく養われたでしょうし、お互い精神的に強くなった部分があります。

ご自身の楽曲の中で一番思い入れの強いものを教えてください。

持田:いろいろあるなぁ…。“いろいろ”というのは曲がたくさんあるのもそうですが、いろんな変化や進化や過渡期があるので、どの時期の何を挙げればいいのかは難しいですねぇ。初期の頃だとやっぱりデビュー曲の「Feel My Heart」は衝撃的なものでしたし、多くの人に認知してもらうきっかけになった「Time goes by」もこの曲を楽しみにライブへきてくださる方が今だに沢山います。「fragile」は二人になって初めて1位をとった曲なので思い出深いですし、振りかえると本当にたくさんのことを経験させてもらったなぁと思います。

伊藤:もしも自分の中でベストだ!って曲が出来ていたら、もう音楽を辞めているかもしれないです。逆に、貪欲になりすぎず良いパワーバランスで続けてきたからこそ、ここまでやってこれたのかなぁ。もちろんリスナーの方にはそれぞれ、この曲はいいよねとか、この曲は売れたよねっていうのがあるとは思いますが、僕はたとえアルバムの中の端っこの曲でも全部に思い出があります。一曲一曲、作るたびに思いが積み重ねられていくので、一つには絞れないですね。

「「好きだ!」とかはすぐ言っちゃいますけど(笑)。」

今回のシングル「ANATA TO」はもう46枚目のシングルになるんですね!このタイトルはどのようにつけたのですか?

持田:日常生活において、仕事の場所でも、友達との場所でも、家族との場所でも、自分ひとりでは何も起きないんですよね。人と関係することによって、いろんな気持ちが生まれたり、自分が成長できたりする。そのような対 “人”について考えると、「ANATA TO」というタイトルがシンプルでいいなと感じたんです。音楽活動も、人と、人と、人と、人との連続だと思います。いい雰囲気の現場で、いい作品を作ることができるのは一番贅沢ですよねぇ。

持田さんはタイトルにも毎回かなりこだわりがあるように感じますが、直感的に思いつくことが多いですか?

持田:パン!とひらめく感じではなくて、言葉の意味を考えて絞っていく感じかも…。文字同士を組み合わせることでイメージをどう表現できるのか考えるのはおもしろくて好きです。字体も大切にしていて、たとえば今回の「ANATA TO」はあえてローマ字表記にしてますけど、そういうことでも伝わり方って変わってきますよね。

「ANATA TO」の歌詞は言葉の持つ響きも気持ちがいいですよね。

持田:もともとアンディーさんという外国の方に、英語で戴いていた曲だったので、それをそのまま英語で歌うこともできたんでしょうけど、日本語を使って自分で歌詞を書かせてもらいました。でも発音や聞こえ方を重視すると、日本語を載せるのってホント難しいですよね。単純に聴いていて楽しくなるようなものが好きなんです。あんまりメロディーや歌詞がわからなくても、ふと流れていて「心地いいなぁ」と思えるものが素敵だなぁと。

逆に、ELTさんの楽曲にはドップリ沈んだような失恋ソングは少ない印象があります。

持田:たしかに自分の性分もあり、絶望的に暗い楽曲って過去にもないかもしれないです。あと私達はタイアップで制作させていただくものがほとんどなんですけど、ELTのイメージとしてわりと「元気な感じで」とか、応援ソングとか、キラキラした楽曲を求められることが多いんです。そういう曲は私達自身も好きなので、必然的に軽快な曲が増えていくのかもしれませんねぇ。でも、アルバムとかで機会があったらすごく暗〜いのもね(笑)。

「ANATA TO」では特に“火花散らして 心を灯して 傷付けあって抱き合う度 深まる愛をI know”というフレーズが素敵だなと感じました。どんな思いを込められたのですか?

持田:もちろん毎日穏やかに生きたいけど、時には人間関係のひと悶着も重要だと思うんです。ぶつかりあった時間があるからこそ、より幸せな時間を感じられることもある。自分の人生の中で良い時期と悪い時期が交互に来るのも、上手くできている気がします。悪い時期には「もーなんだよこれー!」と思うんですけど、それを乗り越えた時に生まれる何かに期待したいんです。

お二人は、恋愛面でも相手と真正面からぶつかるタイプですか?

持田:ぶつかるタイプ…ですね。それを瞬時に言葉にするのは苦手なので、手紙など文字にして伝えるほうが得意です。でも「あー、また手紙だ」とか重く思われてもイヤじゃないですか(笑)。だから極力、思ったことはその瞬間に伝えようと努力はしています。相手のタイミングや状況もありますからなかなか難しいですけどねぇ。

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伊藤:僕はコミニュケーション不足での危機が予測できるときには伝えます。でもどちらかといえば、そっとしておいてあげる優しさの方を大切にするかもしれません。この年になってわかることもあるし…。たとえば、年下の人を見て「そういうやり方だとこれからキツくなるよ」って伝えたい気持ちもあるんだけど、自分自身も同じプロセスを経験しているから、みんな一人で乗り越えるものなんだって勝手に思っちゃってる部分もありますね。「好きだ!」とかはすぐ言っちゃいますけど(笑)。

…(笑)。伊藤さんはご結婚されて、生活の変化などありましたか?

伊藤:やっぱり家族が増えるとライフスタイルがガラッと変わります。人との共同生活をするためには、子どもの頃に習うようなトイレの使い方みたいなことからやり直さないとダメですね。それに、ミュージシャンという仕事についてから、24時間を自分の使いたいように使っていたので、夜型から朝型にシフトする生活なんて考えてもいませんでした。でも、結婚してからは自然にそうなっていきましたよ。人間って対応していくものなんですねぇ。

「「うわ、こっちの歌詞にしなくてよかったなぁ!」って…」

伊藤さんは、持田さんの歌詞にどのようなイメージをお持ちですか?

伊藤:職業で作詞家として書いてる方って、自分と全く違う人になりきって書くことができるけど、やっぱり持田は歌ってるからその時々の精神的なものが反映しているなぁと感じます。タイアップをいただいて書くときには「この時期にこういう楽曲をやるんだ!」と、自分達の想像してないような展開もあってリフレッシュされている感覚もありますね。それがまた次の作品に取り組むパワーを生んでいたり。歌詞を書くにはチャージも大切なんだと思います。まぁ20年ってひと歴史ですし、すごくたくさん書いてるもんねぇ。究極の歌詞を書いたらもうやめてますみたいなところもあるんじゃないですかね。

歌詞を書くことって持田さんにとってどんなことですか?

持田:ELTを2人で続けると決まって「これからどうする?」という時に、歌詞を書いてみたいと自分から言ったんです。それを会社の方が受け入れてくださったことが始まりで、今に至るんですけど、歌詞を書いてきたから今があって…みたいなことを深くは考えてないですね。でも歌詞のみならず、書くことは好きなんだと思います。自分の気持ちを何か文字にするのはすごく楽しいし、それをまた何分かの曲へ収まるように組み込むのも面白いので、生みの苦しみを感じたことはあまりないかも。あ、でも「fragile」の時はかなり大変だったかな…。

伊藤:あれもタイアップで、しかもテーマがかなり明確だったんですよ。こういうシーンに使えて絶対にハズさない曲、といった感じで。だからすごくハードルが高かった気がします。詞もかなり限定されたシチュエーションへ落とし込んで書くのが大変だったんじゃないですかね。

今聴いてみてもすごく持田さんらしい歌詞だと感じますよ!

持田:でも、こないだ家で断捨離をしていたら昔の歌詞ノートがたくさん出てきたんですね。それまで読み返すこともなかったんですけど、何故か取ってあって。そこに「fragile」の歌詞らしき下書きもあったので、読んでみたんですよ。もう…「うわ、こっちの歌詞にしなくてよかったなぁ!」って(笑) 誰かに読まれたらとてもじゃないけど生きていけないと思って…。

たとえば、どんなフレーズがあったんですか(笑)?

持田:言えないくらい恥ずかしいです(笑)。でも、今の「fragile」に聴きなれてるからそう思うのもありますよね。もしそのボツ作が「fragile」の歌詞になってたら、それもそれらしく聞こえるのかもしれないです。歌詞って、出来上がった時には誰もピンと来ていなくても、人に聴いていただいて育っていくこともあるでしょうし。ただ本当に「fragile」の歌詞を作るのは大変だったんだなぁと思い出しました。

ちなみにその歌詞ノートは…?

持田:全部捨てちゃったんですよー(笑)。だってもう読み返さないし、これ要らないなぁ!と思って…。

伊藤:普通は捨てないで取っておいて、死んだ後に誰かがそれを再発見するみたいなことがあるのにねぇ。本人的には今の精神年齢で見ると恥ずかしかったと思うんですけど、作家さんの残した随筆とかみんなそういうものだよ。

持田:先日、アナウンサーの渡辺真理さんの番組でもこの話をしたんですけど、「なんてことをしたんですか持田さん!会社に相談してください〜ひとこと〜!」なんて言われちゃって…。すみません(笑)。

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では、ELTのこれからの夢や目標を教えてください。

持田:可能性って、自分達で“ない”と思った時点で終わってしまうものだし、そう思わない限りは広げていけるものだと感じるんです。きっとまだやれてないこともあるでしょうし、いろんなことを小出しにやっていくと、あっと言う間に時間は過ぎていくんじゃないかなぁ…。最近ね、街を歩いていると自分と同世代の方に「私、本当に青春時代をELTさんと一緒に過ごさせてもらってたんです!」なんて声をかけていただくんです。そういう方々に支えてもらってここまできた自分達なんだなぁと…。誰かの人生の一コマに、自分達の残した作品が残るってすごく奇跡的なことなので、それは可能な限り頑張っていけたらなぁと思いますね。

伊藤:月並みですけど、ライブとかも積極的にやっていきたいし、ポップなスタイルで曲を生み出し続けて行きたいですね。今は楽器を使わないでもCDが作れちゃう時代ですが、そういう世代の人たちが聴いても「いいね!」って言うような曲を作っていきたいと思います。

最後に、歌ネットを見ている方へメッセージをお願いします。

持田:私も他のアーティストさんの歌詞をよく見させてもらったりするので、すぐに歌詞を見ることができる環境はとてもありがたく、歌を作る側としても頑張らないとなと思います。歌詞をみて感じたちょっとしたことがきっかけで、その人の明日が少しでも変わるとしたら、それはすごく素敵です。そういう瞬間が、歌ネットを見ている方の日々にあるといいなぁと思います。

伊藤:音楽に詳しくない人でも歌詞については「この部分がいいよね!」とかあると思います。すごく好きなアーティストの曲でも、歌詞として読んでみると何か違う発見があるかもしれません。どんどん歌詞を見てほしいですね!