元々、シンガーソングライターとして自分の歌う曲の歌詞は書いていたのですが、「作詞家」として初めてお仕事をさせていただいたのはTVアニメ『ベン・トー』の特殊オープニングとなった「Treasure!/著莪あやめ（CV:加藤英美里さん）」という曲です。「自分が歌うこと」にこだわっていた当時の私が、自分の書いた歌詞を他の誰か、アーティストさんが歌ってくださることってこんなに素敵で嬉しいことなんだ、もっと世界を広げられるんだ！と感動したのを覚えています。それが「作詞家」を始めるきっかけとなりました。

友人や家族との「会話」や、様々な物語で登場人物が発する「セリフ」からインスピレーションを得ることが多いです。その時の表情やしぐさでまた違った意味が込められていたりして、短い会話から色んなストーリーが感じられるので、そんな歌詞を描きたいなと常日頃思っております。

メロディが映えることを大事にしたいので、まずはハマりの良い言葉を探してそこから広げていくことが多いです。

いつもまずは「絵」が浮かぶので、それを歌に下ろす感じでしょうか。サビかBメロから書くことがほとんどで、Aメロはなぜかいつも一番最後です。

人が多いところは集中できなくて、 家か新幹線でしか作詞したことがないです。家はもちろんですが、新幹線はなぜか集中できるんですよね。昔あるアーティストさんのインタビューで「カッコつけずに本音の歌詞を書きたいから、作詞はすっぴんでする」というのを読んで、わたしもカッコつけない時にはすっぴん、気取った歌詞を書く時には気取った容姿で書くようになりました。（笑）

無意識にその時々で自分の中でブームな言葉や言い回しがあって、数日間で数曲書いた際に全く同じフレーズが全ての曲に入っていたことがありました。どれだけ引き出し少ないのかと（笑）。そのまま採用にならなくて良かったです。

「良い歌詞」については、私はまだ正解を見つけられていないのですが、楽曲を聞いてくださる方の心を少しでも動かすことができたなら「良い歌詞」をかけたな、と嬉しく思います。

私は「やられた！」と言える立場ではありませんが、、、あえて言うのであれば世の中の全ての曲の歌詞に「やられて」います。同じ日本語、同じ単語を使っていても同じ歌詞は存在しないので、日々色々な表現に感銘を受け自分の中に取り入れております。

いつも何もないところから情景を描いて作詞を始めるので、「これを使おう」「これは使わないようにしよう」と意識していることは特にありません。

ただ、言葉にできないようなことを表現できるのが歌詞のいいところなので、普段恥ずかしくて言えないような感情やフレーズは積極的に取り入れております。

「求められる資質」と聞かれると、私もまだまだ勉強中の身で言葉にするのは難しいのですが...。一歩引いて考えると、アーティストやクリエイターになりたいと思う方々は、自分の中でどこか「変態」な部分を持っていると思っています。だからこそ、その「変態」さを大切にして頂きたいなと思いますし、私も活動する上で大切にしている部分でもあります。

誰だって詞を書けばもう作詞家です。誰かに伝えたいことや、自分の中に秘めていること、表現したいことはどんなことでしょうか？恥ずかしがらずに、まずはアウトプットしてみて頂きたいです。創り上げた歌詞を眺めた時、口ずさんだ瞬間、新しい自分を発見できるはずです。創ること、表現することを楽しんで、自分の世界を、ぜひ世の中に発信してみてください！