Ｑ）子供のころは、どんな音楽を聴いていたのですか？
小学生の頃、60年代に、ビルボード系の曲とかＵＫの曲とか聴いていましたね。中でもビートルズは特別な存在でしたね。

Ｑ）小学生でですか？
ええ、小学生のころです。おもにラジオで聴いていました。唯一のメディアと言えばラジオでしたから。

Ｑ）ドラムは、どういうきっかけで始めたのですか？
中学１年生くらいの頃に、「ドラムセットってかっこいいなあ」って思って、まずビジュアルから入っていったんです。中学生になってからは、ビートルズのレコードとか買って、レコードをかけながら「さい箸」で叩いていたりしたんですよ。その後、中学３年生で、初めてバンドを作った時に、歌も歌いたかったんだけど、ドラムもやりたかったんで、ドラム・ボーカルになったんですよ。

Ｑ）「ドラムってかっこいいなあ」と思われたのは、やはり、小学生の頃から聴いていたビートルズ、リンゴ・スターの影響ですか？
違いますね。

Ｑ）誰ですか？
誰じゃなくて、ドラムセットだったんです（笑）。誰かがたたいてる画じゃなくて、ドラムセットがかっこいいなと思ったんです（笑）。

Ｑ）中学生のころ、ドラムを初めて最初にコピーした曲はどんな曲だったのですか？
最初に組んだバンドでは、ビートルズ、寺内タケシ、ベンチャーズ、ストーンズ、そのへんをやっていましたね。

Ｑ）特徴的で耳に残る素敵な声で、「レイニーボイス」「スーパーポップボーカル」と言われていますが、ご自身のボーカルに関してはどう思われますか？
ちっちゃい頃は、自分の声はあまり好きじゃなかったですね。初めて録音した歌声を聴いた時には「ヘンな声だなあ」って思いましたしね。でも、バンドやっていくうちに聴きなれてきた感じですね。

Ｑ）当時、好きなボーカリストは誰だったのですか？
小学生のころ、ビートルズを聴いていて、とくに、ジョンのボーカルがかっこいいなと思っていましたね。それをひとつの手本みたいにしてアマチュア時代は歌ってきました。もちろん、ジョンだけじゃないけど、アマチュア時代いろんな歌をコピーして歌ってきたことが、僕の今のボーカルのベースになっているんだと思いますね。稲垣節と言われている歌い方も、デビュー以来変わっていないと思うんだけど、そのスタイルは、これからも変えずに歌っていきたいですね。

Ｑ）そもそも、ドラムボーカルでプロになりたいと思っていらっしゃったのですか？
中学のころから、漠然とですけど、「音楽で食べていくんだ」って思っていました。それで、ドラムと歌をやっていきたいと、その当時から思っていましたね。

Ｑ）ドラムでもなく、ボーカルでもなく、ドラムボーカルだったんですか？
まあ、その当時はボーカルかな。

Ｑ）セミプロとして活動していたバンドではなく、デビューの時にはソロでしたが…。
デビューする時、バンドでデビューしたいとも思ったんですけど、当時、バンドは解散状態に近かったですし、事務所の社長から、「やるんだったらソロでやろうよ」って言われましてね。当時は、今と違って、デビューするなら東京に出てこないといけない時代でしたしね。

Ｑ）アマチュアからセミプロ時代に好きだったドラマーは誰ですか？
もちろん、リンゴ・スターも好きだったし、フォービート系だったら、フィリー・リー・ ジョーンズとかトニー・ウィリアムスとか好きでしたね。あとは、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのグレッグ・エリコとか、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムとかも好きでしたね。

Ｑ）最近は、テレビとかに出られても、ドラムをたたいていませんが…。
ライブでは、必ず何曲か叩いていますよ。最近、ドラムをたたきながら歌う人が少なくなってしまいましたからね。フィルコリンズも引退しちゃいましたね。今や、絶滅危惧種みたいだからね（笑）。

Ｑ）最近、よく聴く音楽を教えてください。
最近は、アナログ盤をひっぱり出してきて聴いたりしてますね。ＫＧＢとか、トム・スコットとかトニー・ウィリアムスとか聴いてます。たまたま昨日も聴いてたんだけど、ＫＧＢが意外と良かったね。マイク・ブルームフィールドがギタリストとして好きなんですけど、今、聴いても結構良かったですね。

Ｑ）稲垣さんのオフィシャルサイトには「潤くん 観察日記」とか「答えて! 潤くん!!」とか、楽しいコンテンツがたくさんありますが、インターネットはよく使われますか？

僕は、パソコンはほとんどやんないんです。携帯だけです。なので、オフィシャルサイト用の原稿も、携帯のメールで送って、会社でアップしてもらっています。チャットもやってますけど、携帯でですね。

Ｑ）最近、楽しい時間は、何をしている時ですか？
やっぱり、アナログ盤を聴き直したりしている時ですかね。自分でも、何があるのか忘れちゃっていますからね。いろいろ引っ張り出して聴いて、録音したりもしていますけど。それで、「これはＣＤで買っておこう」って思ったりして買ったりもしています。

Ｑ）突然ですが、好きな食べ物を教えてください。
え〜っとね、明太子とかタラコとか好きですね。嫌いなのはね、ホルモン系がちょっと苦手かなぁ〜。

Ｑ）音楽以外で、今後やりたいことは何かありますか？
何年もご無沙汰しているんだけど、前に自動車レースに参戦していたことがあって、それも、タイミングが合えば、またやりたいなと思いますね。いまだと、ナンバー付きの車で行って、走って、日帰りで帰って来るっていうレースもあるんですよ。

Ｑ）カラオケを歌われたりすることはありますか？
たまーにですね。

Ｑ）あるんですか！どんな曲を歌われるのですか？
カラオケは、知り合いの打ち上げとかで、一人で行くわけじゃないですから、やっぱり自分の曲とか、洋楽ですね。

Ｑ）尊敬している人はいますか？
ジョン・レノンはリスペクトしてますね。彼の反戦的な活動とか、生き方そのものもですね。生きてたら、今は何をしてたかなあって思いますね。

Ｑ）欲しいものはありますか？
東日本大震災で基金を開設したり、支援のコンサートも６月７日にやったりと、自分なりに支援をやらせていただいているんですけど、たとえば、トラックの荷台がステージになっているとかね、そういうのがあったらいいですね。そのままんま被災地に行ってライブができますからね。

Ｑ） 最近、悩みとか、困っていることとかはありますか？
いや、べつにないですね（笑）。

Ｑ） 最近、注目している歌手やミュージシャンを教えてください。
洋楽だと、ギタリストのデレク・トラックスですね。今一番好きなギタリストで、ライブも見に行ったりしてますよ。シンガーソングライターだと、エイミー・ワインハウスも好きですけど、最近、ちょっと音沙汰ないですね。

Ｑ）日本人の歌手で、注目されている方は誰ですか？
たとえば、Superflyさんとか、AIさんとかですね。歌がうまいなあと思いますね。

Ｑ）もしも生まれ変わるとしたら、どうなりたいですか？
生まれ変わったとしても、やっぱりミュージシャンとかでしょうね。別なものと言うと、あんまり想像できないですよね。

Ｑ）デビュー30周年ですが、これまでの音楽人生の中で、とくに印象深いエピソードは何でしょう？
そもそも、30周年を実感することも少なかったりするんですけどね。たとえば、デビューのころは、ラジオ出演やライブやったりしてたころ、僕が最年少だったんですよ。それが、やっぱり、気が付くと最近は最年長だったりして（笑）それが、やっぱり、30年という年月を感じる時、実感する時ですよね。あと、ライブで、僕と同じような世代の方がた、一時期、ライブ会場には姿を見せなかったような人たちが、また、ライブ会場に足を運ぶような時代になってきていて、そういう意味では、いい時代になったなあと思いますね。お子さん連れで、ファミリーで来ていただいたり、ステージから見ると、それも30年を感じる瞬間ですね。

Ｑ）30年は長かったですか、短かったですか？
これがとても不思議な時間の感覚で、早かったような、すごい長かったような、不思議な時間ですね。

Ｑ）今後、音楽以外で何かやりたいことはありますか？
僕は、仙台が田舎なので、やっぱり、被災地への支援は継続的に行っていかないとだめだって思いが強いですね。やっぱり、僕の活動の中で、それを切り離すことが出来ないと思うんですよ。だから、基金を作ったり、チャリティライブも、もともとは、震災前から、仙台では続けていたんですけど、これからも継続してやっていきたいですね。

Ｑ）今の日本の音楽業界をどう感じていますか？
面白いと思いますね。僕がデビューした頃は、Ｊ−ＰＯＰというカテゴライズはされていなくて、ニューミュージックとか歌謡曲とか言われてました。その頃は、ラップとかレゲエとかを日本語で歌われる方もいませんでしたし、島唄系の方もいらっしゃらなかったですし、そういう時代でした。でも、この30年で、いろんな音楽性を持つアーティストやグループがたくさん出てきてＪ−ＰＯＰという世界が出来上がってきて、そういう意味では、面白いなと思いますね。

Ｑ）今後、どういう音楽活動をしてゆきたいですか？
閉塞感とか、先の見えない時代とか言われていた上に、あの東日本大震災が起きて、さらに、いろんな意味で、途方にくれている人もたくさんいます。そこで、「音楽の役割って何なんだろう？」って、みなさんアーティストの方は考えたと思うんですよ。たとえば、あの大震災が起こった時には、音楽ってなくてもよかったわけですよね…、そのくらいのことまで考えたりしました。でも、やっぱり、ある程度時間がたつと、音楽で少しは救われたり癒されたりっていう方もいらっしゃって、これからは、そういう人たちに向かって、もちろん、そういう人たちだけじゃないんだけど、大きく言えば、日本をより良い方向に持っていける曲、オーバーなんですけど、そういう曲を歌っていければいいなと思いますね。いずれにしろ、ＣＤとライブ活動というのが、僕の音楽活動の大きな柱になっているんですが、それは変えずにやっていきたいですね。

（2011年５月、取材・文：西山 寧）