前月の歌詞検索ランキングを掘り下げて分析し、キラっと輝くキラー・チューン(名付けて“キラ☆歌”)を発掘しようというこのコーナー。今回は、海外アーティスト、および海外の血を半分引くハーフ・アーティストの楽曲にスポットを当ててみた。最近、映画『BRAVE HEARTS 海猿』の大ヒット効果もあり、シェネルの「ビリーブ」をネット上でもTVでも街鳴りでもしょっちゅう聞いている。シェネルの、日本語が話せないとは思えないほど絶妙なタメた歌い方や日本人好みの突き抜ける歌唱には、感心するばかりだ。
 また、毎週のようにCDシングルチャートではK-POPアーティストがランクイン。ちなみに、オリコンTOP10では7月の1か月間、少女時代、B1A4、キム・ヒョンジュン、2PM+2AM‘oneday’、東方神起、IUの6組がランクイン。さらに、熟年テキトー男の対照的存在(?)としてなのか、若手テキトー女性として、ハーフタレント(実父がバングラデシュ人、実母が日本人とロシア人のハーフなので、正確には日本人クォーター)、ローラの人気が急上昇。ということで、この海外関連アーティストの歌詞はどれだけ支持されているかまとめてみた。
第37回:海外&ハーフ・アーティスト人気曲TOP10  (2012年8月:2012年7月のデータより分析)
テーマ順位 歌詞順位 アクセス
指数%
楽曲名 アーティスト 発売日 区分
1位 2 100 ビリーヴ シェネル 2012.7.4 海外
2位 12 35.8 PAPARAZZI 少女時代 2012.6.27 海外(韓国)
3位 20 27.7 それでも君を愛してた feat.Sunya Lisa Halim 2012.7.11 ハーフ
4位 37 21.7 Memories ローラ 2012.7.11 ハーフ
5位 46 20.1 ベイビー・アイラブユー(English Ver.) シェネル 2011.7.20 海外
6位 63 16.5 FANTASTIC BABY BIGBANG 2012.3.28 海外(韓国)
7位 71 15.4 i hate u ISSA×SoulJa+ROLA 2011.10.12 ハーフ
8位 79 14.6 ハピネス AI 2011.12.14 ハーフ
9位 82 14.4 HaruHaru -Japanese Version- BIGBANG 2011.12.14 海外(韓国)
10位 93 13.5 ALL NIGHT LONG EXILE 2012.6.20 ハーフ
次点 134 11.2 Rising Sun EXILE 2011.9.14 ハーフ
次々点 142 11 ANDROID 東方神起 2012.7.11 海外(韓国)
※EXILEは、ボーカル兼パフォーマーのNESMITHがいることからカウント。

 今回のテーマでのTOP10を見てみると、総合TOP100内に10曲と思ったほど多くはない。しかも、韓国勢を除く海外アーティストは、結局のところシェネル1組。これは、歌ネットでは、ユーザーサポートを徹底する為、外国曲の掲載を控えていることも影響しているが、言いかえれば、シェネルは、日本の楽曲ゆえに日本人アーティストのように歌詞も掲載され日本により浸透しやすいし、海外アーティストゆえにストリーミングやダウンロードでもCDと変わらず販売解禁となるし(そのくせ、レンタルは1年間お預け)、まさに“エエトコドリ”と言える。このような制作は一種の“発明”とも言えそうだ。

 そして、韓国勢は、少女時代とBIGBANG、12位に東方神起、そして新曲が出ればこの他にKARAと、合計4組が上位に入る程度。CDパッケージでは既に15〜20組がTOP10の常連だが、歌詞やダウンロードでも人気の韓国アーティストは、まだまだ限られている。そう考えると、ヒット実績は未熟なのに、朝の情報番組では頻繁に韓国勢が紹介されていて、これではネット上でアンチ勢が増えるのも無理もない。まぁ、歌詞よりも彼らの完璧なダンスの方がビジュアルのインパクトがあるのは確かだが 、曲そのものの魅力が伝わるようなチャンスが少なくなるのはやや残念だ。

 そして、ハーフの中では、3位のLisa Halimがトップ、次いで映画『ポケットモンスターベストウィッシュ』主題歌のローラもランクイン。ローラは、クォーターのISSAと、ハーフのSoulJaのコラボにゲストボーカルとして参加した「I hate u」も歌詞サイトではロングヒット中。どちらも、歌は至って真面目で、そのギャップが奏功したのだろうか。(確かに、仕事も遊びも出来る人は魅力的だ。)8位のAIは、半年以上のロングヒット。「Story」に次ぐ第2の代表曲になったことが確認できる。

 以上のように、海外&ハーフ勢は、目立つヒット曲はあるものの、総じてさほど多くはないことが分かった。とはいえ、ビジネスでもソーシャル・ネットワークでもますます英語が日常的になりつつあり、ハーフ系タレントが次々とブレイクしたように、ハーフ系歌手も有利になってくるはず。今後も、歌詞の英語率ともども変化が見られるか、ウォッチしていきたい。




ビリーヴ/シェネル


PAPARAZZI/少女時代


それでも君を愛してた feat.Sunya
Lisa Halim
 

 インドネシア人の父と日本人の母のハーフとして日本で生まれ、00年頃からLIVEを続け、07年8月1日にシングル『Air Rhythm』でメジャー・デビューした女性シンガーソングライター。08年に同じくハーフである男性シンガーのJAY’EDとコラボした3rdシングル「切ないくらい、愛してた。」がケータイドラマ『teddy bear』の主題歌となり、CDシングルではオリコンTOP200圏外ながら、フル音源のダウンロードでは10万件以上でゴールド認定となるヒットに。
 その後、他の女性アーティストへの提供や、アルバムへの参加を続けながら、昨年11月、ビクターに移籍。本作は、7/4に着うたが、7/11にフル音源がスタートした配信限定三部作の最終章となる。作詞のみならず、作曲も手がけ、自身のルーツからかローハス系の穏やかな作風を得意としており、切ないながらもどこか希望が持てる雰囲気を持つのが大きな特長。それが、同系統ディーバとうまく差別化できている点だろう。
 9/19には。フィーチャリング楽曲を集めたベスト盤『10 stories Love song〜Featuring Best〜』も決定。コラボブームから3年ほど経っているが、新たな潮流となるか期待。



※ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。
 今月は、ルーキー部門で2か月連続SEKAI NO OWARIが1位、そして宮城県在住の男性シンガーソングライター、ハジ→がランクイン。HAN-KUNや九州男にも通じる、少しハスキーで抜けの良い声が魅力で、配信や動画サイトで人気を呼び、過去2枚のアルバムはいずれもロングヒット、8月8日には、3rdアルバム『ハジバム3。』がリリースとなる。
 本サイトでの一番人気曲は3rdアルバムのリード曲「あなた。」。それにしても、この手の男性アーティストは、なぜ、これほどまでにベタベタな母親感謝ソングを歌いたがるんだろう。筆者の周囲を見ても、介護や援助が必要になる世代でようやく実感するくらいで、若いうちから感謝を口外する奴なんて一人も見なかったし、むしろ日々に忙殺されて実感などできなかった。アーティストの中でもとりわけ下積みの長い彼らは相当に純粋ということだろうか。とにかく直情的。

順位 占有率 曲名 歌手名 初収録作品 発売日
1 31.1% あなた。 ハジ→ 3rdアルバム『ハジバム3。』 2012.8.8
2 17.5% ずっと。 ハジ→ 2ndシングル 2012.4.11
3 12.9% 指輪と合鍵。
feat. Ai from RSP
ハジ→・Ai 1stアルバム『ハジバム。』 2011.1.26
4 6.8% おまえに。 ハジ→ 1stアルバム『ハジバム。』 2011.1.26
5 6.7% 証。 ハジ→ 1stシングル 2011.4.20



つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のヒットに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信などでも愛と情熱に満ちた連載を継続中。Twitterは@t2umusic
 今さらですが、竹原ピストルが4月に出した3rdアルバム『ROOTS to ROOTS』 にハマっております。もちろん、野狐禅としてツインユニットで活動していた頃も、2年前、中島みゆきの「ファイト!」やビートたけし「浅草キッド」を超我流にカバーしていたのも知っていたけれど、エッジが効いているけどどこかホロっとさせる塩梅が良い感じになってきました。この加減ってまさに、松本人志の映画そのもの。あぁ、だから映画主題歌に「父から娘へ〜さや侍の手紙〜」を使ったのか、納得!私個人のおススメは「俺、間違ってねえよな?」でしょうか。桑田佳祐や長渕剛のダークサイド(?)が好きな人にも是非♪(アルバムのブックレットには歌詞の英訳も!)