音と日本語を突き詰める2015年最前線バンド!

 2014年11月にアルバム「Magic Number」でメジャー進出し、新世代ネクストブレーカーに名乗りを上げた4人組バンド“go!go!vanillas”が、4月1日にメジャー1stシングル「バイリンガール」をリリース!

 注目の表題曲「バイリンガール」は、失恋ソングでありながら、エネルギー溢れる痛快なロックナンバー!悲しみに立ち向かい“お前のお前の前通り越して”駆け抜けてゆく主人公の強さは、<本音>を吐き出して前に進むチカラを与えてくれる!

 歌ネットでは、そんな話題の作品を、いち早くお届けします!  
バイリンガール 作詞:Tatsuya Maki 作曲:Tatsuya Maki 水色の恋はシャワーとなり 溢れた想いも排水溝へ消えた
止まらない止まれない 想い忘れ 真新しい私
ドントクライ 土砂降りだけど どんくらい晴れ渡るかな
どうにか一歩進み お前のお前の前通り越して行く
もっと歌詞を見る
INTERVIEW
「いろんな武器で自由に楽しみたい」

まず、バンド名「go!go!vanillas」の由来を教えてください。

牧:僕とベースの長谷川は、地元・大分の中学からの幼馴染で、お互い“マンガ好き”というところが共通していたんですね。中でも「ジョジョの奇妙な冒険」が好きで、そこに出てくる主人公の相棒が、歯に「GO! GO! ZEPPELI」って自分の名前を彫っているんです。2枚目というより3枚目なダサかっこいい感じの奴で、そういう面がまた好きだったので、そこから「go!go!」とつけました。「バニラズ」は、“バニラ”って日本語で書くとあまりカッコイイ感じはしませんけど、英語で書くと“V”から始まるって字体的に結構カッコイイじゃないですか。そのギャップが良くて、“ダサカッコイイ”をテーマにあえて付けたのが「go!go!vanillas」です。

結成当初から、何か気持ちの変化はありますか?

牧:とにかく洋楽が大好きだったので、結成当初は自分達の音楽性も洋楽の良さを押し出していこうとしていました。でも、そこからライブを重ねていくにつれて、どんどん考えが変わってきましたね。もともとバニラズは今のメンバーで始まったわけではなくて、2年前にドラムのジェットセイヤが入って現在のカタチになったんですけど、特に彼が入ってからガラッと変わったかな。例えば、CDを聴くだけじゃ満足できない部分を、どうやってライブで魅せていくか考えるようになりました。「音楽をやるって楽しい!」という部分が伝わるようにライブをするようになってから、自分達も楽しくなってきたし、お客さんもそこに反応してくれるようになったことが大きく変わったところだと思います。“一緒に楽しむ”という感覚が強くなってきたのかなぁ。

バニラズさんの楽曲は異国のムードを感じさせるものが多いですが、どのように曲作りをなさっているのですか?

牧:やはり洋楽が好きなので、メロディーや曲調は海外の音楽がルーツになっている部分が多いですね。でも、そこを日本語へ落とし込むときに、海外の音楽と日本語の間に“つなぎ”のようなものを作ってあげないと違和感が出てきてしまうんです。文化の違いもありますし、当然音楽はその国の言語に合ったように発展していくものだと思うので、音楽と融合させるにはどんな言葉を使えばいいのか、海外の良さになじむ日本語を探し出して作っています。

photo_01です。

実際に海外へ行くことも多いですか?

牧:いや、アメリカに一度、卒業旅行で行ったことがあるだけですが、その時に受けた影響が自分の中でとても大きかったんだと思います。むこうで出会った男の子がいて、僕が当時18才で彼が21才とかだったんですけど、日本の若者と比べて、人間としての成熟度が凄いんですよ。だから自分がすごく子どもに思えてしまって…。彼も音楽をやっていたんですけど、自分の人生を素直に生きているというか、「やりたいからやる!」っていう気持ちがそのライフスタイルにも出ていてカッコよかったんです。僕は当時、大学へ行くために上京する予定でしたが、東京でバンドをやろう!と心が動いたのはその時の経験がきっかけですね。

洋楽がお好きだという一方で、好きなアーティストに吉田拓郎さんを挙げられていたり、日本のフォークソングにもかなりお詳しいですよね。

牧:大学に入ってから、洋楽を色々聴いていたんですけど、ある程度までいくと飽きてくるというか、ジャンルが飽和してきたんですよね。そこで日本の音楽も聴いてみようと思ったんです。その当時はJ-POPにあまり興味がなかったので、そのルーツになる音楽を聴いたらJ-POPの本質を教えてくれるかもしれないと、フォークソングなどを聴き始めました。そのときに感じたのは、フォークという音楽が日本人にすごく合うな、ということでした。なにか劇的なことがあるわけでもない素朴な日常のことを歌うなかに、言葉の強さみたいなものを持っているところが日本の良さなんだなぁと。シンプルだけど芯のある強さというか、英語とはまた違った強さを感じます。そういうことを吉田拓郎さんの音楽などから考えさせられて、自分の音楽の中でも日本語を大切にしようと思うようになりました。

では、今の音楽シーンでの「go!go!vanillas」の強みといったら何でしょうか?

牧:バニラズの武器は、“武器をいっぱい持っているところ”だと思うので、そこで勝負したいです。ただ1つの超強い武器は持てないけど、剣だったり手裏剣だったり、いろんな武器で自由に楽しみたいって気持ちが大きいですね。やっぱり音楽ってジャンルもそうですけど、世界中見れば本当にいっぱいあるので、ひとつのことだけをやっていたら勿体無いなと。人生は短いし、歌もいつまで歌えるかわからない。そういうことを考えたときに、吸収したらそれをどんどん出していかないとなって考えてます。

「“本音と建前”もひとつのバイリンガル」

今回のシングルも、収録曲のジャンルが幅広いですよね。

牧:そうですね。全曲違うカラーを入れるっていうことが僕たちらしさかなと思いました。歌詞だけでなく、曲全体を通して伝えたい部分が3曲全部違うから、そこは考えたかな。

表題曲の「バイリンガール」ですが、このタイトルはどんな想いを込めてつけたのですか?

牧:“バイリンガル”って本来は、母国語と他国の言語を使えるって意味ですけど、まず日本人として“本音と建前”というものがありますよね。それもまたひとつの“バイリンガル”だと思うんです。例えば、僕は大分出身で方言があるんですけど、こっちにきて東京の友達としゃべるときって標準語なんですよ。でも、地元に帰ると大分弁になるし、そのときの自分の心ってやっぱり違うんです。そういうのも含めて、僕たち日本人は無意識のうち、器用にスイッチを切り替えながら生活してると思うんですよね。その部分を恋愛に例えて、面白く表現できないかなという想いがありました。

恋愛においてはどのような面で“バイリンガル”を感じますか?

牧:相手のことを思っての“建前”だけが正解じゃなくて、考えすぎるがゆえに相手にはうさん臭く見えてしまったり、「ホントは本音でぶつかって欲しいのに・・・」と思わせてしまうこともありますよね。だからそこを恐れずに、恋愛を含め、自分が依存しているものなどに対して「コレが正解」という思い込みを断ち切る心というか、本音と建前でいう“本音”の部分をちゃんと伝えることが大切だと思うんです。特に、僕らのライブって若いお客さんが多いので、そういう気持ちを持って前に飛び出してみて欲しいですね。“本音”でぶつかってみたら、意外と悩んでいた問題がすごく小さかったりするかもしれないし。

photo_02です。

なるほど。

牧:僕自身にとっては、バンドを始めたことも“本音”のひとつだったかもしれません。やってみたら、頭で考えていたほど難しいことじゃなかったというか、バンドをやってお金を稼ぐって大変だって言うけれども、実際やっぱり楽しいことが第一だと思います。そこで踏み込んだからこそ、今こうやってたくさんCDも出せたし、聴いてもらえるってことができているから。そういう意味もこめて「バイリンガール」では、“バイリンガル”の心のことを言ってるんですよね。

歌詞にも“本音と建前”の面が現れていて、Aメロでは相手を「あなた」と呼んでいますが、サビでは「お前」に変わっていますよね。

牧:そうなんです(笑)。そこも重要で、僕は“普遍性”がある音楽やメッセージ、言葉の使い方を大切にするんですけど、でも今の人たちに響かなきゃ意味が無いから、上手く混ぜ合わせようと思ったんです。今は、どんどん女性が主張できるようになってきたというか、立場としても強くなってきたんじゃないかなぁと。

たしかに“気の強い女性”が増えている気がします。

牧:昔は、彼氏の数歩うしろを歩くようなひかえめな感じが日本人女性のイメージでしたが、今の子たちは、例えばフラれたりしたときにメソメソするんじゃなくて、「あー!このやろー!」ってイラつくと思うんですよ。それをまたガールズトークにぶつけたり、そういうのが面白いし、“めっちゃロックやなぁ!”って感じます。だから、悲しみを自分の中に閉じ込めて、独りで苦しむんじゃなくて、仲間内でもいいからちゃんとそれを1回吐き出して、前に進んでる感覚を表現したかったんです。「あなた」から「お前」に変わっていくところは、自分でも歌っていて痛快だったりします。

「僕が死んでからも聴いてもらえるような言葉を選ぶ」

女性目線という点も面白いですが、バニラズさんの楽曲で“ラブソング”って珍しいですよね。

牧:これまでにもなくはないんですけど、前回の「Magic Number」というアルバムの中でもラブソングは作ってないですね。あんまり作りたいと思わなかったというのもあります。だからこそ今回、今まで扱ってないテーマって何だろうって考えたら、やっぱり“恋愛”だなと。でも、恋愛だけのラブソングだとつまらないから、どこに面白みをつけようってところで、女の子の強さや、ロックな面をストーリー調にしつつ、痛快に駆け抜けていくような感覚で作ったら、バニラズとしても新しい一面になりました。

ちなみに、「バイリンガール」の主人公の女の子は牧さんの「理想像」ですか?

牧:それよく言われるんですけど、多分そうなんでしょうね(笑)。僕が結構、気を遣ってしまうタイプなので、ずばずばと自分の思ってることを言ってくれる子の方が、こっちも本音で話せますね。男女問わず相手が「ウェーイ!」って来てくれれば、こっちも「ウェーイ!」って行けるのと同じ感覚です(笑)。嫌なことは嫌だって言ってもらった方がいいし、ちゃんと喧嘩とかもできるほうが絶対いいと思います。

では、歌詞についてもう少しお聞きしたいのですが、牧さんの歌詞には“恋の散弾銃”だったり、独特な単語がよく登場しますよね。

牧:前のアルバムを作り終わった頃に、よく聴いていたのが「ネオアコ」とか90年代の「渋谷系」の音楽で、彼らの音や歌詞の作り方が面白いなぁと思っていたんです。でも、それは自分が歌の中で使う言葉でもないなぁと思っていたので、最初は他人の言葉として楽しんでいました。彼らは“恋の散弾銃”のようなオーバーな表現をするんですよ。洋楽をより突き詰めて、音を世界基準にしようとしていた人たちだから、恋愛面での言葉も海外的な部分を取り入れようとしていて、日本人は絶対思いつかないような言葉を使うんです。その感じがおもしろくて、ちょっとずつ取り入れるようになりましたね。

photo_03です。

歌詞を書くときに大切にしていることはありますか?

牧:素直にストレートな言葉で伝えるのは、簡単だと思うんです。そういう言葉が強いのもわかっているんですけど、僕が死んでからも聴いてもらえるような言葉を選ぶことを大切にしてます。だから、リアルを歌うけど、具象物としてのリアルなものを歌詞に入れないことも大事ですね。例えば「iPhone」とか「たまごっち」とか、その時代だけを表す言葉を入れてしまうと「あの頃はよかったね」になってしまうと思うんです。それって悲しいなって…。でも、The Beatlesって、いまだにどこでも曲が流れていますよね。しかも、いつ聴いても全く古さを感じない。それって多分、芸術の究極の部分ですよね。僕が目指しているのは、その“永久的”な音楽です。

作詞の面では、どんなアーティストから影響を受けましたか?

牧:吉田拓郎さんや大瀧詠一さん、松本隆さんですね。その人たちの歌詞って、やっぱり普遍性を感じます。訴える何かがあるし、それでいて近すぎず遠すぎずちょうどいい距離感で接してくれるような感じがするんです。だから太田裕美さんとか、その年代のアイドルの楽曲がとても好きで、僕の中ではずっと色褪せないですね。

バンドとしてのこれからの夢や目標を教えてください。

牧:最初に“武器をいっぱい作りたい”って言いましたけど、その武器をちゃんとライブで表現できるバンドになりたいと思います。曲を作り込むのは簡単だけど、ライブでやったとき全然ダメだったら意味がないので、それを表現できるように、メンバー4人が音楽的にも、もっと深いところで考えられるようになれたらと思います。

最後に、歌ネットを見ている方にメッセージをお願いします。

牧:日本語で伝えるという部分と歌詞に関しては、誰にも負けないという気持ちで作っているし、アーティストの色が一番出るのは歌詞なのかなと思っています。今回の「バイリンガール」もそうだけど、音だけで聴いたらめっちゃ爽快なのに、実は失恋のことを歌っていたりという面白さがあったりするので、作品の本質をわかってもらうには、是非、歌詞を見てください!

(撮影:浜野カズシ)