いま一番泣ける歌声…

 その圧倒的な歌声は各所で感動の渦を起こし、自身の代表作となったマイナビウエディングCMソング「Endless Road」が150万回再生を超えた女性シンガー“fumika”。そんな彼女が、2年ぶりとなるアルバム「POWER OF VOICE」をリリース!

 ドラマ主題歌「ドアの向こうへ」「消せない約束」「泣きたい僕ら」をはじめ、注目のタイアップソング満載!その歌声のみならず、楽曲、歌詞共に高いクオリティを誇る今作は、まさに2015年女性POP史に残る名盤!

ドアの向こうへ 作詞:田中秀典・fumika
作曲:釣俊輔
もう一度立ち上がれ 何度でも立ち上がれ
くじけた手にぎゅっとチカラ注いで
あの日誓った夢が叶うその瞬間まで
ずっと ずっと 手を伸ばそう
昨日よりも近づいてる ドアの向こうへ
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INTERVIEW
「歌で会話しているような雰囲気を作る」

今回、2年ぶりのアルバムリリースとなりますが、この2年の間にレコード会社の移籍など様々ありましたね。振り返ってみていかがですか?

fumika:新しいチームになったので、最初は意見が合わないことや嫌になること、自分に対して悔しい思いもたくさんしたんですけど、全国各地でライブを行ったり初の海外ライブを経験できたことで、“喜びを分かち合えるチームに出会えた”って思えるようになりました。色んな感情の起伏があるけど、その喜怒哀楽を歌にできることは本当にありがたいことだと思いますね。

“喜怒哀楽”ということですが、fumikaさんは“ポジティブで明るい性格”だってよく言われていますよね?

fumika:そうなんですよ。“悩み無いでしょ?”とか言われるんですけど、そんなことないです(笑)。ライブが上手くいかなかった時は独り部屋でヘコむし、落ち込み過ぎると何もできなくなりますから(笑)。

昨年リリースした「Endless Road」は、鉄拳「振り子」とのコラボでも話題を呼び、fumikaさんの代表曲になりましたね。

fumika:この曲は、デビュー当初から温めてきた曲なんです。デビューして4年の間に、震災だったり地元の友達が亡くなったりして、自分には受け止めきれない事がたくさんあって、でも、反対に友達でバトミントン選手の藤井瑞希がロンドンオリンピックに出場したり、まわりが結婚して子供を産んだりして、嬉しいこともたくさんありました。私たちは誰も未来を知ることができない。そんな無防備な人生の中で、“永遠を願ったり祈ったりできることって凄いことだな”って思ったんですよね。この4年間で感じたものから歌詞を紡いでいったんですけど、色んな出会いを呼んでくれた大事な曲になりましたね。

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私も「Endless Road」には感動させられました。色んな場所で感動を呼んでいると思います。

fumika:「Endless Road」をリリースした後、海外で初めて歌う機会をいただいて、イタリアに行ったんです。人種も違うし言葉も通じないから、すごく不安だったんですけど、ライブで「Endless Road」を振り子の映像を流しながら歌ったら、二千人のイタリアの人がスタンディングオベーションで拍手をしてくださったんです。“音楽ってやっぱり凄い!”っていうことを改めて感じたし、今回のアルバムのタイトルにも通ずるんですけど、自分の声の力、歌の力に対して自信に繋がった経験でしたね。

fumikaさんのヴォーカルを絶賛する声は絶えませんが、歌っている時はどんなことを意識しているのですか?

fumika:自分の書いた歌詞を聴いてくれるお客さんに真っ直ぐ届けようと思って歌っています。全国各地でライブをやるとお客さんの反応がバラバラで面白いんですよ。だから、一緒に空気を作っていくこと、歌で会話しているような雰囲気を作ることを意識しています。

今回のアルバムリード曲「ドアの向こうへ」はドラマ主題歌ですね。

fumika:毎日、誰もが何かと戦っているので、そんな人に向けた応援歌を一曲書きたいなと思って書き出したのが、デモの段階です。その後、ドラマ「保育探偵25時~花咲慎一郎は眠れない!!~」の主題歌のお話が来て、台本を読ませてもらったんですけど、主人公の花咲慎一郎はひたむきな男性で、自分のためじゃなく他の人のために一生懸命頑張る。そういう物語とデモの曲がリンクしたので、ちょっと歌詞を書き直したりして作っていきました。

「ドアの向こうへ」というタイトルに込めた思いは?

fumika:よく“目の前に壁が立ちはだかる”って言うじゃないですか。私の場合、“もっとこういう風に歌いたい”と思って、スタジオに入って歌えるまで歌い込むんですけど、その時は辛いし苦しい。でも、ライブで自分の歌を聴いて笑顔になる人や涙を流してくれる人がいる。私の中では、“ちゃんと伝えられたことが壁を乗り越えたということ”なんですよ。そして、あとから振り返えると、“あっ、あれは壁じゃなくて、ドアだったんだ”って気付く。そんな思いを込めています。

「活力剤になってくれればいい」

ドアの向こうで待っているものは何かは分からない。だからこそ、希望を描いて前に進む。何が待っているかという結果よりも、そこに至るまでの過程が大切なような気がします。

fumika:結果というのは自分だけのものじゃなくて、関わった色んな人たちのものだと思うんですよ。その過程で自分の力が足りなかったとしても、それを補ってくれる人がいたりして、そこに辿りつける。でも、辿りついて得たとしても、過程がないと満足しないと思うんですよ。だから、壁の前で色んな工夫をすることによって、ドアということに気付く。そして、ドアノブが付いていることや、引くのか押すのか。それに気付かないとUターンしてしまって、次のステップにいけないですからね。

fumikaさんは、オーディションでグランプリに輝き、歌手の夢を叶えました。なかなか夢に向かって上手くいかない若者も多いと思いますが、夢を叶える秘訣はなんでしょうか?

fumika:私自身、14歳の時に歌手を目指して20歳の時に夢が叶ったんですけど、それまで福岡でオーディションを100以上受けてきてるんですよ。なので、結果としてレコチョクオーディションで合格したのは、そこまで続けてきたからなんですよね。だから、陳腐な言葉かもしれないけど、“諦めないこと”。それは、肌で実感していることですね。好きなら貫き通すこと。もちろん叶えることは簡単なことじゃないけど、“やりきった”っていうところまで行けるかどうかだと思いますね。

アルバムには、「10000回のありがとう」や「Little Happiness」など、感謝を綴った楽曲も多く収録されています。

fumika:さっき話したここ数年間に起きたことが歌詞に反映されていると改めて思いますね。今の世の中は、拒絶されたり否定されることが多くなっていて、ちょっと生きづらい世の中だなって感じてます。ただ自分の目標や恋愛は、他人に言われてああだこうだなるものじゃないから、今自分が見ているものや触れているもの、感じているものが一番大事で、たとえ失敗や挫折したとしても、それが間違いだっていうことは絶対にないと思うんです。そういうちょっとしたものの連続が「Little Happiness」なんじゃないかなって。

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なるほど。

fumika:「10000回のありがとう」に関しても、私は全然良い子じゃなかったんで、家出も何回もしたりして、本当に両親に迷惑を掛けてきっぱなしだったんです。だから、歌詞の中では両親を想って歌っているんですけど、広い意味でまわりの人にも“こういう気持ちってあるよね”っていうことを投げかけた曲ですね。私は、今の時代ちょっと恥ずかしいくらい飾り気のない言葉でストレートに綴るのが好きなのかも知れませんね(笑)。

2曲とも、共通して“いつか別れがくることが分かっているから、今を大切にしよう”というメッセージが込められていますね。

fumika:なんかこの数年間で“死ぬ”ということが限りなく近くに感じるようになったんですね。“自分はこの先いつまで歌えるんだろう”って。だから、死ぬ時は“これまで本当に良かったな”って思える死に方をしたいなって思うんですよ。まわりは“死ぬ”ということにあんまり触れたがらないし、見て見ぬふりをしていると思ったりするんですけど、多分本当は身近なんですよね。“もしかしたら明日そうなるかも”って考え出すと、“今、伝えないと”って思うから、一瞬一瞬を全力で生きたいですね。

アルバムでオススメしたいところは、どこですか?

fumika:映画主題歌やドラマ主題歌が収録されているので、fumikaを知らなくても全然楽しめる一枚になっていると思うし、色んな気持ちにさせてくれる一枚だっていうのは私自身感じています。優しい気持ちになれるし、奮い立つことだってできるアルバムなので、手にとってくれる人の活力剤になってくれればいいですね。

「自分の存在を確かめられる」

歌詞を書く時に大切にしていることは何ですか?

fumika:歌詞は、自分自身の実体験を書くようにしています。それは嘘をつきたくないというか、“これでいいんだ”って納得したものをみんなに届けたいと思っているからです。普段は、その時思ったことや情景をメモしたり、手紙を書いてそれを詞にしたりしています。まとめて歌詞を書く時は、カフェで書くんですけど、雑音の中にいるのが好きで、のめり込んで書いていると周りの音がシャットアウトされる瞬間があるんですよね。息抜きついでに隣の人の会話を聞いたりすると、自分の中でリンクする部分もあったりするから、その時は噛み砕いて書いたりもしますね。

歌詞を書く上で影響を受けたアーティストは?

fumika:尊敬しているアーティストでもあるシンディ・ローパーですね。人間味がすごく溢れていて、彼女自身すごく人が好きなんだろうなっていうのが歌詞を通じて伝わってくるんですよ。私が影響を受けているからだと思うんですけど、歌詞は真っ直ぐで突き刺さってくるんですけど、その分寄り添い感もあるんですよね。あとは、ドリカムさんも好きですね。繊細というか、いつ聴いてもフレッシュでその場にいる感じがする。お姉さんなんだけど友達みたいで、すごく身近に感じる歌詞が好きですね。

歌詞を書くことは、fumikaさんにとってどのようなものですか?

fumika:私はしゃべることは好きなんですけど、しゃべりに自信はないんですよ。やっぱり思ったことって照れ臭くて言えないし、喜怒哀楽の感情をどうしても内に落としこんでしまう方なので、その感情が爆発するように歌詞を書いているんだと思います。だから、歌詞を書くことは、自分の居場所みたいなものだし、感情の吐け口ですね。

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じゃあ、歌って発散されるものと、歌詞を書いて発散されるものは違うのですか?

fumika:違いますね。色んな曲があるので一概には言えないんですけど、言葉にならないから、歌や歌詞にしているんだと思いますね。それに対して、色んな人が共感してくれたり反発してくれる。それがやっぱり嬉しいというか、自分の存在を確かめられるんですよね。

年間を通して100回を超える複合施設でのライブを敢行しているそうですが、ライブへのこだわりは?

fumika:歌がすごく好きで、常に歌っていたいので、歌う場所をいただけてありがたいですね。やっぱり生で歌を届けるとその場でリアクションが返ってくるし、そこでコミニュケーションが生まれる。CDにすることも大事なんですけど、音楽って言葉の通り、音を楽しむことだから、生で届けることは大切ですね。

アーティストとしての夢や目標はありますか?

fumika:お婆ちゃんになっても歌い続けていきたいですね。結婚して子供を産んで、その子供が孫を産んで、その孫に自分のステージを見てもらうのが夢です(笑)。

それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。

fumika:歌詞を書いている立場としたら、やっぱり歌詞を読んで欲しいですね。どういう風に読んで欲しいというのはないので、皆さんが歌詞を見たまま、感じたままに理解してくれればそれでいいので、ぜひライブにも遊びに来てください。