「"ニューフォーク"の新星」

 2011年、タワーレコード主催のオーディション「Knockin'on TOWER's Door」で準グランプリを獲得し、ユニクロ「ヒートテック」CMにも出演を果たした話題のシンガーソングライター"見田村千晴"が、9月25日にミニアルバム「ビギナーズ・ラック」でメジャーデビュー!

 キレイゴトだけじゃなく、人間の弱さや醜さに向き合い書かれた独特な歌詞の世界観に、シンプルな楽器編成だけど深みのあるサウンド。その中心にある歌声は、時に強く、時に優しく響いてくる!

 歌ネットでは、そんな話題の作品を、いち早くお届けします!

悲しくなることばかりだ
作詞・作曲:見田村千晴 悲しくなることばかりだ 悲しくなることばかりだ
繋がれないことばかりだ 毎日 毎日
それでも 抱きしめたくなる
愛おしいことも確かにある
面倒な日々を どこまで愛せるか
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INTERVIEW
「自分がどういう人間なのかがようやく分かってきた…」

今年4月に行われたレコード会社のコンベンションで、はじめて拝見させていただきました。あの時歌った曲は、今回のアルバムの1曲目「ラブソング」でしたね。

見田村:はい。あの時は、すごく緊張しました。でも、弾き語りでやっているからこそ、ああいう場でも歌うことができるので、自分の強みを見せられたと思います。

会場の雰囲気を一瞬で変えるメッセージの強さを感じました。これまでどんな音楽を聴いて育ったのですか?

見田村:小さい頃から親にクラシックをやらされていて、練習が嫌いでクラシック自体も好きになれなかったんです。でも、歌うことは大好きで、流行りのJ-POPをよく歌っていました。なかでも、一番影響を受けたのが、矢井田瞳さんです。すごく楽しそうで自由に大きく歌っている感じが好きで、歌詞も人柄というか、不器用な感じに惹かれました。

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その後、プロを目指そうと思ったきっかけは?

見田村:"シンガーになりたい"とはずっと思っていたので、ライブハウスで歌うことにしたんです。でも、ライブハウスでオケを流すのはカッコ悪いから、"じゃあ、ギターを弾いて歌おう"と。それで歌う曲がカバーだったらこれもカッコ悪いから、"じゃあ、自分で曲を作ろう"と思って、曲を書き始めたんです。

プロを目指す上で、どういうアーティスト像を思い描いていたのですか?

見田村:具体的に歌いたい方向性が分かってきたのは、ここ2年ぐらいです。それは、自分がどういう人間なのかがようやく分かってきたからです。コミュニケーションを取るのが苦手で、光が当たった真ん中にはなかなか行けない。どっかでそれに憧れているんだけど、それも斜めから見ちゃう…。"私ってそういう人間なんだ"って。

なるほど。

見田村:でも、同時に"光が当たる人より、当たらない人のほうが多いんじゃないかな"って思うようになって、こんな私だからこそ、孤独や劣等感で苦しんでいる人に寄り添えるんじゃないかって気付いたんです。それからは伝えたいメッセージもハッキリしてきました。

今回リリースとなる「ビギナーズ・ラック」のタイトルには、どんな思いが込められているのですか?

見田村:メジャー一枚目ということと、"シンガーになりたい"と漠然と思ってから20年ぐらい経って、インディーズの時期も長かったので、ちょっと自虐的な感じも込めています(笑)。

アルバム全体を通して、音はシンプルな分、一つひとつにこだわりを感じます。

見田村:サウンドは、プロデュ—サーの松岡モトキさんにお願いしました。出来るだけ音数を減らして、アコギと歌が一番シンプルに聞こえるサウンドが私のイメージとも一致したので、すごくカッコよく仕上がったと思います。

「感情の間の色をそのまま出来るだけ言葉にする…」

1曲目の「ラブソング」で"自分探し"という歌詞が出てきますが、アルバム全体を通して、自分探しがテーマになっているように思います。

見田村:自分では意識はしていないんですけど、そうかもしれないですね。自分のことは一番分からないし、だからこそ分かりたいと常に思っているので。

リード曲「悲しくなることばかりだ」はMVも公開されて、反響も大きいかと思います。インパクトが強いこの曲が見田村さんのイメージに繋がることについては、どう思いますか?

見田村:もちろん嬉しいですよ。パッと聴き、インディーズで出してきた曲や今回のアルバムの曲と違う感じはするんですけど、今までサブリミナル的に入れていたことを増幅させただけなので、全然違うものだとは自分の中では捉えていないんです。

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メッセージが強烈な分、それを歌詞にすることに対しての躊躇は?

見田村:なかったですね。むしろ歌詞にすることで救われることはありました。やっぱり、どこかで"自分のことを分かってほしい"と思っているので。文章や口に出すことは出来ないけど、曲でだったら言えますからね。

歌詞はどのように書いていったのですか?

見田村:携帯やノートに書き留めている言葉を集めたんですけど、それをただ羅列して愚痴ってもしょうがないので、"どういう風に言ったらより楽しくて面白いか"って考えました。"自分と人は違うのは当然"っていうことを前提として上で、"他人と違うからこそ面白い"っていうメッセージを込めました。

「秘密」は、誰もが抱えているコンプレックスや矛盾した感情、それに相手との距離感が巧みに描かれていますね。

見田村:"好き"とか"一緒にいたい"とか"幸せ"とか、恋愛ってそういう既存の言葉に当てはめられがちですよね。でも、相手が違えば恋愛の仕方も違うように、"好き"という感情もそこには不安や怖さなど、色々混じり合った色なんだと思うんです。そのグラデーションをハッキリとした色に寄せるんじゃなくて、その感情の間の色をそのまま出来るだけ言葉にするように書きました。

アルバムでオススメの曲や注目してほしい点はありますか?

見田村:やっぱり「悲しくなることばかりだ」ですね。私自身、最終的には楽観的ですし、根本は人が好きなんですよ。でも、色々とねじれが生じてしまうところや人が聞き流すところも聞き流せないところなどは、私らしさが出ていると思いますね(笑)。あと、曲のテンションや楽器と歌の温度の差、楽器の音数が少ないからこその隙間のグルーヴ感にも注目してほしいです。

「誰かと繋がれるツールでもある…」

普段、曲作りはどのようにされているのですか?

見田村:私は歌詞から作ります。実は、今までは意識してなかったんですけど、今回色んな人と関わる中で、曲先が一般だということを初めて知って、普通と違うということが分かりました(笑)。

歌詞を書く時に大切にしていることは何ですか?

見田村:グラデーションですね。"好き"ということを白黒で分けちゃうんじゃなくて、灰色でもちょっと黒い灰色なのか、それとも白い灰色なのか、そういう感情をこぼさず拾い上げる。その上で難しい言葉じゃなくて、分かりやすい言葉で表現していきたいと思っています。

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歌詞の面で影響を受けたアーティストや作家は?

見田村:アーティストでいうと、小谷美紗子さんです。直球だし、媚びてないし、ちゃんと自分とも戦っているところは衝撃を受けましたね。あとは本も好きで、特に凄いと思う作家は角田光代さんですね。それこそ感情のグラデーションを的確に簡単な言葉で表現されていて、"こういう風に書きたいな"って思います。

歌詞を書くことは、見田村さんにとってどのようなものですか?

見田村:何年か経ったときに振り返って、"あの時こういうことを考えてたんだ"って分かるものなので、日記のようでもあるし、自己紹介的な要素もあると思います。あとは、誰かと繋がれるツールでもあると思いますね。

では、アーティストとして喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?

見田村:やっぱりライブですね。歌っている時はいつも楽しいし幸せなんですけど、やっぱりそこに聴いてくれる人がいないと喜びが半減してしまうので。互いのコミュニケーション、こっちの熱とお客さんの熱がぶつかる瞬間が一番幸せですね。

アーティストとしてのこれからの目標は?

見田村:一番は長く音楽を続けていくことです。そのためには、たくさんの人のそばに置いていただけるように、まず「ビギナーズ・ラック」を聴いていただきたいと思っています。

それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。

見田村:私もよく歌詞だけを見て刺激を受けたりするので、私の曲で世界が広がるきっかけになれるのであれば、すごく嬉しいです。