歳時記(ダイアリィ)

卒業迄に咲けばいいねと君は
ある日急に窓辺にはち植えを置いた
何もなしに別れてゆくよりも
残したいと はじめた歳時記
一頁目には 二人の略歴
二頁目には 二人の出逢い
三頁目から たどる季節
記す度つのる悲しみに
君は耐えかね 七頁目からは
僕の名前何度も連ねた

花の名前もきかず買ったくせに
勝手に自分でかすみ草と決めつけたね
早く咲いてと 毎朝祈って
水を過ごして 枯らしそうになって
眠らず一人 看病してたよね
花の名前 呼び乍ら
無事だった朝 涙ぐんで
すてきな水色に君は笑った
そんなちひろの子供の絵の様な
君の笑顔がとても好きだった

卒業したら君は故郷へ帰って
小さな子供の先生になるといった
言葉通りに 子供に囲まれた
君の笑顔の写真が今朝届いた
お嫁にゆくと 添えた手紙
つまりそれが2年の月日
書きかけた歳時記あとがきにかえて
君が自ら刻んださよなら
今思い出を 煙に帰して
せめて君の明日を祈る
さよなら僕の好きだった人
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