つらつらと

つらつらとつづく坂道 細い影
老いた背にしまなみの遠きゆび笛
丘人がつなぎし夢の橋の数
見上げる舟人達の汗いずこ

今日出逢い 明日別れる旅人も
ここをすみかと憧れん
いま消え残る古人の歌行脚
頼山陽の胸のうち

さやさやと耳をくすぐる松藾に
ふたたびの帰省を誓う西國寺
夏服の君の姿を追いかけた
けがれ うたがい知らず過ぎた日々

今日出逢い明日別れる旅人も
淡き初恋よみがえる
いま消え残る瀬戸の夕陽は西へ行く
我を残して西へ行く

今日出逢い明日別れる旅人も
波を枕(しとね)に夢を見る
いま消え残る我が命さえふところに
一期一会の夢に酔う
×