グレイの背広

あなたからさよならなんて
言えないと想っていたの
いつだって仕事が先ね
私は二の次だったの

ハンガーのグレイの背広
陽かげりの壁に揺れてる
それを着る人もないのに
今日もまたアイロンかけた
グレイの背広ぬいでしまえば
男の人は自由になるの
何が私をしばっているの
引き返せない人生なのに

あの頃は優しかったわ
映画にも誘ってくれた
休日にはよく旅したわ
野の花の両手に抱いて

人はみな過ぎ去ってから
幸福な時に気付くの
電灯もつけない部屋で
泣いてたら切ないですね
お酒に酔ってごまかすだけで
男の人は自由になるの
何が私をしばっているの
引き返せない人生なのに

指を折りひき算したの
あなたとウェディング・ベルから
2年前悩みもなしに
微笑ってた私かえして
グレイの背広ぬいでしまえば
男の人は自由になるの
何が私をしばっているの
引き返せない人生なのに
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