いつかもう一度愛せるから

春先のマーケット すれちがった二人に
カートを押す指を 少しゆるめて 立ち止まった

瞳だけのあいさつしか できないことに
少し いらつく

「いつかもう一度愛せるから 誰よりも愛せるから」
そんな風に思っていなきゃ おかしくなりそうだった
…どこであきらめたの なぜ名前を呼べないでいるの

スパイスの棚の前が あなた好きだったよね
使いきれないまま 捨てた小ビン たくさんあった

あふれるほど買い物した あの毎日が
押し寄せてくる

いつかもう一度会いたかった 誰よりも会いたかった
胸の中にうずまいている 理不尽な思いを見る
…時のせいじゃないの どうしようもないことがあるの

しあわせなあなたを よろこべない
寂しさがいないかと 捜してしまう

「いつかもう一度愛せるから 誰よりも愛せるから」
そんな風に思っていなきゃ おかしくなりそうだった
…何をためらったの もう走って抱きしめに行けないの
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