憂愁平野

遠く野末に 夜汽車のあかり
闇に流れて 溶けてゆく
思い出だけの 蛍火を
抱いて宛ない おんなの旅は
夜が夜が 淋しすぎます
憂愁(ゆうしゅう)平野

恋のぬけ殻 湯舟に沈め
寒い心を あたためる
ひと冬きりの 薄氷
しのぎ切れない おんなの宿は
じんとじんと 酒が沁みます
憂愁(ゆうしゅう)平野

春のレールを 辿ってゆけば
いつか涙も 花になる
抱かれたことが 夢ならば
夢に逢いたい おんなの旅路
雪が雪が 空に連れ舞う
憂愁(ゆうしゅう)平野
×