西門の昧爽

がれきの海で
夢を見ていた
僕らが目覚めた
その足下は
ひどく汚れた
川が流れて
水面に映した
顔も見えずに

ただ少し笑って
ただ少し叫んで
ただ少し重ねて
ただ少し抱き合って
ただ少し許して
ただ少し焦がして
ただ少しやさしく
夜が空ける

笛吹きの目は
いまも虚ろで
ここにも昔は
花が咲いたと
哀れむように
嘆いてみせた
僕には名前も
ないというのに

ただ少し笑って
ただ少し叫んで
ただ少し重ねて
ただ少し抱き合って
ただ少し許して
ただ少し焦がして
ただ少しやさしく
夜が空ける
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