月夜の渡り鳥

おまえ一人か、連れ衆(しゅ)はないか
連れ衆ァごらんの影法師
可哀そうだよ、旅人さんは
縞の合羽に三度笠
そこに惚れたも エエサ、ないもんだ

月は照る照る、おふくろさんが
見せてくれたもこの月か
遠い昔がまたもや浮び
瞼おもたい、涙ぐせ
別れ別れに、エエサ、誰がした

浮世寒風、吹かれてとんで
どこへ月夜の渡り鳥
男なんだよ、行く道ァあるが
笠の小縁に手を掛けて
なっちゃねえやと、エエサ、ひとりごと
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