あのコは夏フェス焼け

8月が来たっていうのに アタシには行くとこもない
ウダウダとふて寝をしてたら パパが部屋に来て言った

「オレ昔バンドやってた ボーカルは死んだママだ
また始めることにした お前がママの代わりをやれ」

え?!って驚いてたら ワゴン車にほうり込まれた
アッという間に真夏のフェスティバル

アタシ夏フェスにやってきたんだ 太陽がまぶしくて
あの人も来るって言ってた どこかで会えるかな

リストにはパスが巻かれて ご飯は野外のブュッフェで
ビール飲むパパ後ろ うそ!マジ!?アンガスヤングだ

日焼け止めタップリと それでも肌は真っ黒
もうすぐ出番と呼ばれた 途端にドキドキ胸が高鳴る

セキュリティはでかいブラザー
「アーユーオーライ?」 鼻で笑った
アッという間に真夏のステージ

アタシ夏フェスにやって来たんだ 飛行機雲が沸き立ち
あの人はどこにいるんだろ この人の海の中に

頭が真っ白になった 歌うなんて無理よ無理無理
棒立ちで震えてたら パパが寄って来て言った

「好きなやつに会いたけりゃ 盛り上げて前に来させろ
パパもそうやってママと出会った」

アタシは覚悟を決めた 8月の空に叫んだ
アッという間に真夏のフェスティバル

アタシ夏フェスにやって来たんだ 花火を打ち上げろ
あの人の姿が見えた アタシは飛び込んでった

アタシ波乗りをしていたんだ 人の波の上を
あの人が腕を広げた アタシは飛び込んでいった

セキュリティは頭を抱え パパは後ろで苦笑い

ママが言ってた 夏は終わるって
アッという間に 夢は終わるって
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