夜の公園で渡すつもりのない手紙を書いている

夜の公園で渡すつもりのない手紙を書いている

ギターを弾きながら上手に歌を歌うのは 難しいことだけれど
今ぼくの心を形にすることは それ以上に難しいことみたいだ

静かな夜に粉雪が降り積もるように 君への想いは静かに降り積もっている
季節が巡っていつかこの雪が解けるなら ぼくはきっと世界に解けてしまうんだ

細長いベンチを下敷きに 爪の形の月をスタンドにして
言葉を喋るみたいに 想いを夜に滲ませようとしている

だけどこの手紙は 渡すつもりのない手紙
君への喜びを綴った 届くあてのない手紙

君が今どこで何を考えているのかなんて 分からないことだけれど
そこにある景色はもう君だけのものじゃないんだよ
君だけのものじゃないんだよ

もう二度と会わないと誓った夜に ぼくは部屋で少し寂しい映画を観ていた
ラストシーンは思い出せないけれど 涙が止まらなかったのを覚えている

だけどこの手紙は 渡すつもりのない手紙
君への喜びを綴った 届くあてのない手紙

ジャングルジムが郵便ポスト 滑り台が配達員
虫の声が40円切手 ぼくはシャツのボタンを全部しめている

だけどこの手紙は 渡すつもりのない手紙
君への喜びを綴った 届くあてのない手紙
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