君は穏やかに春を語れ

君はうたぐることなく穏やかに 君の新しい春を語れ
僕は悲しむことなくゆるやかに 僕のなつかしい秋を歌う

ふと垣間みた 淡い恋は
君の背中越しの 僕の指の隙間の
丁度なだらかな 夢の斜面を
滑るように落ちて行く
いま君は春をめぐり 僕は秋をたどる
遠く海の向こうに日が沈む音が聞こえて
少女は大人になる

君はふりむくことなくさわやかに 君の美しい春を歩め
僕は慈しみながら君の背を 僕の新しい秋に刻む

あの日 君の手のストローは
煌めきながら 日差しに透けた
丁度初めて咲く口紅の
紅い花の散るあたり
いま君は愛を上り 僕は愛を下る
遠く空の彼方にかささぎの羽音聞こえて
少女は大人になる
君は春をめぐり 僕は秋をたどる
遠く海の向こうに日が沈む音が聞こえて
少女は大人になる
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