生きているから

ふと触れ合った手と手の中に
すきま風が住んでいて
ふと見つめ合った目と目の中に
さよならが住んでいる

嘆かないで嘆かないで
ああ生きてるから悲しいのです

本を読む手を暫とめて
窓の外に目をやれば
気付かぬうちにいつもの道に
幻の君を見る

嘆かないで嘆かないで
ああ生きてるから悲しいのです

昨日まで見てた二人の夢は
春のおとずれと共に
ひとりぼっちのみじめな花を
心の中に咲かせてゆく

嘆かないで嘆かないで
ああ生きてるから悲しいのです
×