甘い夢

学生時代の甘い夢の数々
綺麗ごとだけの恋愛遊び
今めくるアルバムに淋しい微笑
別れた人だけが優しくよみがえる
本を抱えて突然あらわれた
長いまつげの君だった17才の……

通学電車のこみあう人の中
気づかぬ間に誰かをさがし
声もかけず遠く離れて
見ていたあの頃
もどれるものならば帰れるものならば
叶うことのない誓いをかわした
若いというだけそれだけのそれだけの頃

学生時代は夢のように過ぎて
人の心は変ることを知り
いつも来た喫茶店の窓辺にもたれて
少し伸びたひげにそっと手をやれば
なぜだかコーヒーがゆれながらぼやけて
大人になったことがただ淋しくて
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