シベリア悲話

年老いた明日なき旅人
オホーツクの海の青さに
昨日までの夢を見る
色あせたコートの襟たて
みしらぬ町角

ふりかえることは生きること
思い出が生きてるしるし
シベリアの風の冷たさに
ふきかける息の白さ
あてもなく遠く見つめ
ふと微笑うかべる

故郷をはなれ時が過ぎ
強かった父はもう白髪
オホーツクの海の青さを
あなたにも見せたかった
今日までのわがままを
許してくれるだろうか

冬空に一羽さまよう
帰れない渡り鳥に似て
シベリアの風の冷たさに
力つき翼おれて
朽ち果てる荒野にさえも
一輪の花は咲く
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