絵画館

授業を抜け出して 球場のアーケード
ゆっくり すれ違う スワローズのユニフォーム
秋の日射しの中 君の指に触れた

木漏れ陽が揺らした 水に映る絵画館
ほどけた靴紐を結び直す 君の横顔

外苑を染めてゆく 金色の銀杏並木
青春という名の答えのない問いかけに怯えてた
君と僕のセピア色の傷口さえ
いつしか懐かしむ そんな歳になった

足元に転がった 誰かのファウルボール
ゆっくり投げ返す 君の細い腕の白さ

もしかして誰かに 壊される日を待つような
青春という名の あやうさを君に感じていた
絵画館の天窓からゆるやかに
こぼれる日射の中
君は輝いてた
遠い光の中で…
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