金糸雀、それから…

一方通行の路地を 抜けてあなたに会いにゆく
道すがら目をとめた花を買いました
今日はさようならを告げる為に会いにゆくの
迷い悩み苦しんで やっと決めました
前に私の部屋の金糸雀(カナリヤ)をみつめながら
あなたは独白(つぶや)いたね 逃がしておやりよと
自由に空を 飛ばしてやれよ それが幸せだよと
あなたは 男の人だから きっとわからないのでしょう
金糸雀は ひとりでは 生きてはゆけないのです

唄を唄えなければ金糸雀ではないでしょうか
もしも空を飛べなければ鳥ではないでしょうか
本当の空より広い空は確かにあるのです
それはあなたの腕の中 私にはそうでした
秋の終わりの雲が ゆっくりと流れてゆく
あなたひとりのために唄っていたかった
ふと立ち停まる三叉路で今 幸せとすれ違った
あなたは 男の人だから きっと気付かないのでしょう
金糸雀は ひとりでは 生きてはゆけないのです
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