紫野

君 いつの間に 誰 恋して
眩暈を覚える 綺麗になったね
その眼差しで 僕 見ないで
垣根がほどける 綺麗になった

七重八重 山吹は
実をつけず 枝垂れ咲く
鐘の声の 風の声の
うらぶれて 道遠く

護りつつ犯しつつ 二人来た紫野

君 知らぬ間に 誰 壊して
妖しく哀しい 笑顔になったね
ふと 今何か 僕 はじけた
肩口すべって 揺らり一葉落ちた

幾度の 初恋を
君すでに 脱ぎ捨てて
紅色の 唇に
香り立つ 薄明かり

与えつつ奪いつつ 二人来た紫野

幾度の 三叉路を
選び来て ゆき過ぎて
また同じ 三叉路に
今二人 巡り来て

迷いつつ刻みつつ 茜さす紫野

君 いつの間に 誰 恋して
眩暈を覚える 綺麗になった
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