カサノバ L

夜風のパーティーへ
誘われたあなた
「タキシードが似合う」
それだけささやいて

たくみにシャンパンを
くれる別の彼
「よこがおがハンサム」
お礼のことばよ

恋はいつでも スリルが本気の
ふたりは どこか退屈で

ダンスがうまい 彼の瞳も好き
カードをくばる 彼の胸もすてき
めうつりのたび くぎづけだけど
誰にも けして 愛してるなんて 言わない

テラスの星屑で
くどいた紳士には
「コロンを忘れない」
ひとこと みみもとに

家まで送ろうと
背伸び 若い彼
「ママもついてくるの?」
10年はやいわ

熱く抱いたら 女は最後と
誰もがきめて かかるから

ドレスをぬがす 魅力がほしい
クールなだけで ディープじゃないものね
ほめことばより おくりものより
心を満たす トラブルがひとつみたいわ

夜風にゆれる 髪がほどける
すてきなひとは たくさんいるけれど
ことばのままに 生きたくなくて
誰にも けして 愛してるなんて 言わない
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