ひとりしずか

湖は 青い香炉よ
たちのぼる 霧のなかから
あなたの思いが こぼれて匂う
そんな気がして 手にとれば
ひとりしずかの 白い花

白樺の 幹にもたれて
草笛を 吹いてくれたね
あなたのしぐさを 恋とも知らず
遠く別れた あのときも
ここに咲いてた 想い花

すき通る 水に透かせば
今でこそ 見える昔も
元には戻せず 指輪の跡も
消えて淋しく 首を振る
ひとりしずかの 白い花
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