泣かせないで

優しすぎる貴方のまなざしが
別の女映して逃げている
馴染みのお店も潮時と
人影がまばらに席を立つ

酔えなけりゃ内気な人だもの
嘘つきになれないままだもの
笑ってジョークにしてあげる
消え残る時間の中

泣かせないで 泣かせないで
せめてあの扉をくぐるまで
泣かせないで 泣かせないで
恋が騒ぐから

夜更けの振り子が悲しげに揺れている

ためらいは湿った空の下
止まらないタクシー待つ歩道
いつもと変わらぬ接吻の
さよならが欲しかった

泣かせないで 泣かせないで
せめて次の車止まるまで
泣かせないで 泣かせないで
涙落ちるから

振り向けないまま滲む街見詰めてる

泣かせないで 泣かせないで
せめて闇が心隠すまで
泣かせないで 泣かせないで
愛を眠らせて

今日から独りで思い出を消して行く
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