二十歳の頃

あれは二十歳の頃さ
ぼくは初めて知った
君とめぐり逢って 愛することを
君はぼくよりたしか
二つ年上だった
恋に泣いたことの ある人だった
二人で借りた小さなアパート
本のほかに何一つ 部屋にはなかったね
朝の光の中で ぼくはまどろみながら
君に甘えたくて 泣いていたよ

あれは二十歳の頃さ
ぼくは初めて知った
愛を失くす時の 心の痛み
ほんの小さなことで
ぼくと喧嘩をしたら
君は部屋を棄てて 帰らなかった
涙でぼくも棄てたよアパート
本のほかに何一つ 荷物はなかったよ
時はながれたけれど 君によく似た人と
街で出逢う度に 胸がいたむ
×