春になれ

あした天気になれ もう日が暮れる
切り絵みたいな街を 子供が走る

あの日母は黙って こたつの上に
東京行きの切符を 置いてくれたの

春になれ 春になれ
涙 飛んでゆけ
靴を放り投げれば 赤い夕焼け

あした天気になれ 空見上げれば
ふわりひとひら雪が おでこに落ちた

いつか母に抱かれて 泣いて眠った
あの日聞いた子守唄 唄ってみるの

春になれ 春になれ
冬を連れてゆけ
風よ早く届けて 山のうぐいす

あした笑顔になれ 夕闇の中で
ひとりブランコに乗り 星を探した

むかし母の背中で 見ていたころは
星の名前をたくさん 知っていたのに

春になれ 春になれ
夢を連れてこい
もうあと幾つ眠れば 桜の便り
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