月を抱いたヴィーナス

夜風のヴェールを挟んだ サファイア色のテラス
薔薇の花びら敷き詰めた 時へ攫われていく
危ないセレモニー 裏窓開く
食べてはいけない 花粉が舞うの
白い絹のストォール 月のない夜を滑べる
ジュヴゼーム ジュヴゼーム ジュヴザドール
月を抱いたヴィーナスよ

大きくあいてる背中に 後ろから口づける
水辺に光溶けた時 嘘に抱かれて揺れた
愛しい香りさえ 口に含めば
素肌に突き刺す 棘の刺青
舵を取れない舟が 月のない夜を滑べる
ジュヴゼーム ジュヴゼーム ジュヴザドール
月を抱いたヴィーナスよ

誰のものにもならない 女すんでる港
群れから外れたカモメが 凍えて鳴き続ける
うなじに絡み付く 湿った大気
明日を呼べない 汽笛が響く
影を持てない女 月のない夜を滑べる
ジュヴゼーム ジュヴゼーム ジュヴザドール
月を抱いたヴィーナスよ
月を抱いたヴィーナスよ‥‥
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