銀木犀

細い爪先(つまさき) 伸びあがり
くちづけかわす 別れ徑(みち)
どこからか 霧にしめった
銀木犀が 匂います
あゝ わたし いつまでもこうして
あなたの胸に ひっそり咲きたい

明日(あす)の別れに 目をつむり
かさねていましょ くちびるを
恋をする 女ごころは
銀木犀の 匂いです
あゝ あなた 身じろげばやさしい
かおりがゆらぐ 花びらこぼれる

いつも送って くれた徑(みち)
今夜はどうぞ 送らせて
闇のなか 花の匂いで
銀木犀は わかります
あゝ わたし ふり返るあなたを
しづかに待てる 女になりたい
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