北帰航

生まれた港を はばたくときは
一度も後ろを 見なくても
これが運命さ 海どりたちの
呼ばれもせぬのに 舞い戻る
北へ、北へ、男がひとり

赤銹だらけの マストをみれば
男の苦労は わかるけど
だれが迎えに 行ってやるもんか
女はふて寝を 決めたけど
汽笛 聞いて 裸足で駈ける

酒にも溺れた 恋にも酔って
傷つき流れた 十五年
まわり道した 航海ラムプ
消すのはあの女の 店だねと
北へ、北へ、男は帰る
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