風舞い

鳥もかよわぬ 岬まで
恋を忘れる 旅なのに
なんで別れが 綴れない
まるでためらい 傷のよに
「貴方」と書いて その先は
風に言葉を 盗まれる

ひとつ大人に なりきれず
ひとつ女を 棄てきれず
割れた鏡に 紅をひく
痩せた右手の あわれさよ
「貴方」と叫び 夕映えが
風の隙間を 染めるだけ

北へ向かえば みだれ雪
西へ下れば 秋しぐれ
どこへ逃げても 面影が
涙背負って 追いかける
「貴方」と書いて 結べない
手紙破れば 風の舞い
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